Bandcamping vol.1~バンド/ユニット編~
空いた時間にSoundCloudやBandcampを開き、何か好みの音楽はないかとサーフィングするのが日々楽しみの一つです。そして時に「おっ!」と引っ掛かった音楽に関してはTumblrにポストしつつ、さらにnyp形式、フリーDL可能なモノに関しては別ブログにクリップする、みたいな流れをライフワークとしています。
今回はそんなポストやクリップするだけ終わらせてはいけない!、と思う音源を軽い紹介やレビューなども含めて以下にまとめています。
因みにサブタイトルにもあるようにバンド、ユニットなどが主な括りです。Bandcampを活用している人なら分かると思いますが、この形態での作品は数多くありながら、それこそピンキリが明確なモノばかり(笑)。メタルやオルタナティブなどのジャンルももちろんここに含まれるんでしょうが、それこそ膨大で手が付けにくいので...
01. Sunset Hearts - wwwindswept
ポートランドの男女7人組(!)エレポップバンド。2011年リリースのアルバム『Haunted Cloud』が本国で各メディアに取り上げられ、その後マイペースにリリースとライヴを交互に行ってきた彼ら。この7曲入りのミニアルバムも含め各作品ほぼ全てname your price形式での購入が可能だ。ソフトシンセも含めパーカッション、カウベルなど多彩な楽器と演奏によるアプローチがエレクトロポップに着地することで、耳馴染みのいい高品質のインディーミュージックを堪能することができる。方向性によってはより前衛的でタフな音楽も聴いてみたいかな...
02. Spur - Spur
紅一点のAndrew Mickowski (Vo/Ba)を中心にToni Pennello (Vo/Gt), Fabrizio Marra (Dr)で構成された3ピースバンド。ペンシルバニア州はポコノとい自然豊かな土地で結成されたとは思えないほどヘヴィーで内向的なサウンドが特徴。結成間もないバンドらしく音源も情報もこれ以外見当たらないが、音質などの面において申し分のないクオリティが掲示されているので期待しても損はないかと。背景は分からないがジョイ・ディヴィジョンからトーキング・ヘッズ等を愛聴してきたような、歪みとクリアトーンの絡みがそう印象付かせるトラックが3曲には感じられる。たった3曲のみでは何とも言えないので、なるべく早くアルバム単位の音源が欲しいところ。
03,. High Highs - Ocean to City
1stアルバム『Open Season』にてドリームポップからインディーシーンに至るまで名を知らしめたオーストラリア発NY経由のHigh Highsから新たなる3曲入りEPが到着。相変わらず、という言葉は褒め言葉として、ドリームポップの至高たるリバーヴ、アンセム、キャッチーなメロディーが余すことなく詰まった作品。どこを切ってもHigh Highsらしさ満載なので、これはもうDLしてiPhoneでもiTunesでもいいからその夢見心地な音の雲海に浸っちゃってください...笑
04. IC3PEAK - Vacuum
モスクワを拠点に活動するトラックメイカー:Nickとヴォーカル兼アートデザイナー:Nastyaによるユニット。聴覚と視覚によるクリエイティビティをセパレートしつつ、最終的には一つのスタイリッシュなフォーマットに結合させていく過程は2010年代、特にSNSが普及してから急激に増加したように思う。彼らも同じくその系譜に当てはまるが、Bandcampにおける"タグ付け"に代表されるように自らのアウトプットにおいてジャンルを表示していく作業こそ、IC3PEAKなどが生み出す~Wave系エレクトロニカには重要になっていくはず。彼らは"coldwave""darkwave"などのタグを用いているので、確かにおどろおどろしくもあり、寒冷地から発せられる冷気すら音に憑依させているかのような硬質感を是非味わってみてほしい。Cream Soda、Summer Of Hazeといった面々のリミックスも収録。
05. fog drive - Girls
ドレスデン(ドイツ)出身の4人組バンド。ニューウェイヴ。ポストパンク、ニューゲイザーなどをベースにローファイながら質の高いトラックを2枚のEPにてしっかり表現している。キーボード/ヴォーカルを務めるデボラの確かなセンス哀愁ある声質もこのバンドの強みだと思う。ライヴ面においてはJeffrey Lewisのアメリカツアーのサポートとして参加したり、本国以外にも英米にて活動していることから経験値も着々と身に付けているよう。これはSXSW等を経て化けるかどうか...
06. Slowdance - Slowdance
noisey, stereogum, spin等のメディアに注目されるブルックリンのニューウェイヴ/ポストパンク系バンド。メディアに取り上げられて埋没していくバンドやシンガーは数知れないが、彼らはそうするには惜しい存在になり得るんじゃないかな?アンニュイな出で立ちとドリームポップの香料も含ませたダンサンブルなトラックメイクも磨けば光るものがある。曲によってはグルーヴィーなノリも使いこなせるみたいで、サイケデリックな部分をライヴでは見ることができそう。
07. Sin Kitty - Not Today Again
ノースカロライナ州はアシュビルにて結成。マイブラやジザメリなどのシューゲイズサウンドを直系にAnnieによるフェミニンなヴォーカルがリスナーをさらにトリップさせてくれる。ガレージな音響面やサイケデリックな構成も見られるあたりはスペースメン3、シド・バレットなどの影響がチラつく。EPが1枚フリーで、シングルが2枚name your priceでリリースされてます。
08. Throw Me A Rope - Now Is Not A Good Time To Be On Fire
バンド名からKT Tunstallの1stシングルを連想したのは自分だけか?いや、あんなオーガニックフォークな曲を源流に持つバンドではない。ブルックリンやロスではなくワシントンD.Cで生まれたこのThrow Me A Rope。Charles, Sam, Ananthの3人組で、それぞれがヴォーカル、ギター、ドラムを演奏することができるというマルチなバンドだ。Bloc Partyなど2000年代におけるポスト/ガレージパンクに影響を受けた粗削りなサウンド、近しいところではCloud Nothingsなどにおけるローファイブームにも加担しようとしているよう。この手のバンドはBandcamp内にも数多く存在しているけど、個人的には"影響を受けた音楽に臆することなく音を出せてるかどうか"が良し悪しを決める指標になってます。彼らはそれがとても明確で、それでいてビビッてない。
09. Peach Peach - EP
ドイツはベルリンから。Tomer BaruchとEden Leshemによるエレポップユニット。Paech Peachなんていつから童貞感満載でチープなエレクトロニカだと思い込んでいたけど...チル風味でサザンポップな装いも感じる全6曲。ヴェイパーでサンプリング感も垣間見えるサウンドコラージュなど、聞き手によって自由度の高い解釈が可能な音楽だ。と、ここまで説明しながら11/9現在でこのユニット、解散が決まっております 笑。理由は定かではないが、今月下旬のライヴにて正式に解体されるようだ。残念ではあるけど、これもよくあること...
10. Pan Astral - Color Field
デンバー出身の4人組アートポップバンド。Gabriel Otto, Kipp Koren, Michael Smith, Tad Luskからなる彼らの最新EPは変化自在なビートを軸にしたトラックメイクが特徴的。ダブステップなどの返拍子から純粋なColdplayばりのアンセムまでその守備範囲は広い。公式サイトの凝り方も含めて自己プロデュース力の高いバンドと言えるだろうし、その時々でサウンドもスタイルも微妙に変化させている。こういう見つけた後に何倍もオイシイ作品と出会うことで、さらに奥深いネット音楽の空間美にドップリ浸かる人も多いのでは?そんな副作用も含めて視覚的にもしっかり強度のあるバンドは大好きです。
11. Butter The Children - True Crime
アメリカのインディーミュージック隆盛の地:ブルックリンから出てきた4人組ポストパンクバンド。ショートカットのブロンドヘアーがキュートなInna Mkrtycheva (Vo.Key)、その見た目とは裏腹なダイナミズムあるドラミングを披露しているJordyn Blakely (Dr.)、そして男性陣のMax Kagan(Ba.), Ray Weiss (Gt.)が左右にそびえる様を見ても、インディーズ界隈では流行りのBoy meets Girlバンドの一つと印象付けらえてしまいそう。まぁ、その界隈に区別されたとしても、このダサいジャケットからは見事に裏切られるであろう伝統的なシューゲイズ、ポストパンク、ガレージロックの楽曲の数々。要は形態はありふれていようが、突き詰めてやることやれば文句ナシってことでじょう。彼らは検索すると結構メディアに取り上げられたりインタビューなども残っているので、もう少し掘ってみる価値アリですね。
12. L.A Girlfriend - Varsity
篠山紀信が宮沢りえでも撮ったのか!と突っ込みたくなるアーティスト写真ですが…そんな80年代のモノクロ感を醸し出すL.A.Girlfriend。23歳のSydney Bantaから成り立つこのソロプロジェクトはパンキッシュな音楽コンセプトを持ち、最新作『Varsity』ではポストモダンなシンセサウンドの薬味も加え、New Orderかのようなニューウェイヴ感を疑似体験することができる。これまでもその気配はあったが、どちらかと言えばパンク的アティチュードが強かったように思う。以下彼女の最新作だが、Bandcampでは全ての作品がnyp、フリーダウンロード公開となっているので是非。
如何でしたか?ここでは時間の都合上(ネットなのに!)12のアーティストしか紹介できなかったですが...全て"name your price形式"の作品ですが、もちろん応援する意味を込めて「0」を打ち込むだけじゃなく「1以上」の数字を彼らの音楽に差し出してほしいと思います(勿論「0」でもOKです)。
総括ではないけど、やはりロックは"縦軸"においてその様式が決まっていきますね。"縦"というのはつまり"歴史"のことで、そのミュージシャンやバンドにおけるバックボーンなどがそのバンドサウンドの影響源になるということ。紹介した人は皆ほとんどが20代前半なので、やはり90~00年代にいけるミュージックムーブメントに少なからず影響を受けていることが分かります。自分もほぼ同性代だからこそ、彼らの音楽にフィーリングでLikeを押すように共感したのと同時に、そんな"縦軸"の力をネットという"横軸 (=インターネット上の音楽)"で拾い集めている状況に、何とも言えない感情が芽生えています。
このnyp形式にしたって、Radioheadや昨今のU2におけるアクション等も含めると善悪が二分されてしまうようなシステムかもしれませんね。でも、そこにおけるネガティブな発想やムダにポジティブに振り切ろうとするメッセージよりも、自分達の音楽をフリースタイルなシステムを通して聞き手に届けることが大切で。
なのでその聞き手であり受け手の私たちも、こうやってブログでも音源制作の面でもいいので、何かしら新しいモノとしてアップデートしていく行動がより重要になってくるのだと思ってます。
因みに"vol.1"と付けたり"バンド/ユニット編"と銘打ったりしたので後々別枠でも"vol.2"などやろうと思います。いや、やります(←言うことで自己暗示かけておきます...笑)