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音楽について

「ゆとり世代」から「Youtube世代」へ。テイラー・スウィフトが睨んだタイミングの図り方

このブログは基本自分の音楽にまつわる理解というか、いわゆる雑記と呼ばれる内容にだけはしたくないと思っていて。雑記というとフットワーク軽く、言いたいことを吐き出す場にしかならない。ブログの役割は人それぞれなので使い方も捉え方も自由ですが、少なくとも自分はなるべく「自分にとっての考えをまとめる場」として使っていきたいなぁ、と考えております。

...といってもやはり言いたいことも言えないポイズンな世の中で(?)こういう個人の意見をまとめられる環境がすぐそばにある以上、たった140字でしか思いの丈を述べられないTwitterでは表しづらい意見をつらつらとまとめることぐらいはしていこうかなと思います。端的に言えば「Twitter以上」のことをそのツイート、記事を経て残していきます。

要は普通のブログ形式の内容になるのかな...いや、なるべくそれっぽいけどそうじゃない!みたいな形に...

 

テイラー・スウィフトSpotifyから自身の音源を全て削除。「Youtube世代」が睨んだタイミングの図り方

(元ブログ:テイラー・スウィフトのSpotify撤退問題に思うこと | THE MAINSTREAM

11月初頭、テイラー・スウィフトが定額音楽配信サービスの「Spotify」から最新作『1989』を含む全ての音源を削除しました。これについては以下に詳しく。

テイラー・スウィフト、定額音楽配信Spotifyから最新アルバム「1989」含む全アルバムを削除。Spotifyも認める | All Digital Music 

 

テイラーがこのような行動に出た経緯は彼女が以前ウォール・ストリート・ジャーナルの記事にて発言した内容が理由の一つと言えるでしょう。


テイラー・スウィフトがWSJの寄稿記事で語った音楽の未来へのアドバイス | All Digital Music

過去にはトム・ヨーク(Rediohead)がこの定額サービスについて~と語り同じく自身のソロアルバム、所属するアトムス・フォー・ピースのアルバムを削除しました。

 

色々な意見が飛び交う中、真っ先に自分が感じたのは”改めて日本はガラパゴスな国なんだな…”ということ。それはCDフォーマットの絶対的な存在やストリーミングサービスにおけるネット環境の未熟さなどは除いて、あのテイラー・スウィフトが!という驚きが恐らくこの日本では見られませんでしたから。それは日本でSpotifyのサービスが開始していないこと(Music Unlimited, KKBOX, レコチョクBsetなど定額配信サービス自体は存在する)、そしてそれ以上に“音楽についての関心度の格差”などが要因なのかもしれません。

それでもテイラーは自らをYoutube世代」と捉え、動画サイトで音楽を聴き、チャンネルや動画を切り替えながら刺激を得ていると。そして自身はそういった世代に対してライヴなどの活動を通し新しい刺激を与えていきたいのだ、と。

1989年生まれ、日本なら「ゆとり世代」と分別される中、彼女らしい捉え方ですよね、「Youtube世代」って。さらに面白いのは以下の部分。

iPhoneにフロントカメラがついてから、サインを求められることが全くありません。今の少年少女にとっての記念は、セルフィー(自画撮り)なんです。これが新しい通貨で、Instagramで何人のフォロワーがいるかと同じです

まさに。インスタグラムの利用やiPhoneによる自撮りが自分にとっては重要な要素で、それらを多用して広がっていくネットワークにこそ価値が生み出されやすい時代なのだと、彼女は分析している。日本においてはWEARなどのファッションアプリや『テラスハウス』のようなテレビ番組との連携も考えれば、この分析も日本に当てはまるものだと思う。

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ここでは音楽産業についてや定額配信におけるアーティストへの利益配分など数字が指し示す問題や疑問点は省くとして、私たちリスナーの持つ音楽価値の高低差が極端だということは言いたいなぁ、と。当然、Twitterにおけるフォローや共通の音楽趣味を持つ人など、音楽が好きな人にとって日常的に触れ合うネット/リアルの世界には自らと似た関心度の人が集まります。ただそこから一歩、いや半歩でも外の世界を見ると、極端に関心度の違いが見えてくる。これは音楽に限ったことではないけど、その高低差が縮まることで何かしら楽になる部分はあるんじゃないか、とも感じますね。極端に高い人も複雑な知識を噛み砕いたり、何かしらポピュラーな事象とリンクさせることで関心の違う人にも目につきやすくしたりできるはず。テイラー・スウィフトの意見がここ日本では100%合致するものではないにしても、安易に利益法則に従った行動とは少し違った意味を持っていたのは確かです。

関心が全くない人を振り向かせるにはこの定額配信サービスにおける問題は難易度が高いにしても、今回テイラー・スウィフトというポップアイコンが行動したことで少しは彼女に興味のある人にも、「音楽」という概念に注目がいけばいいなとは思う(そんな上手いこといかないけど)。テイラーがインタビューで述べた意見は確かに正当性があり、クリエイティビティにて金銭を得ている人からしたら当然の意見かもしれない。もちろん定額音楽配信サービスにはポジティブな面もある。バックカタログの補完や未知の音楽との出会い、Lordeなどを前例としたブレイクもネットを通じ不特定多数の人と共有できる同サービスでこそ成せたもの。定額配信サービスとの利益問題について、クリエイター自身の人気度も良し悪しを分ける目安であり、そう考えればテイラーの意見は勝者前提での発言にも読めます。


こういう音楽の価値の話をしだすと昨今ではU2の話が引き合いに出されるけど、それはまた別に。言い分としてはやはり音楽産業全体だとか、利益についての話はリスナーとして興味もある分、萎えてしまう部分もありますね。国がクールジャパンを掲げて”Kawaii”やアイドル等にフォーカスを当てる度にため息が聞こえるのと似ていて、言うべき人と言うべきタイミングが揃わないと全くの反作用になり兼ねないから。少なくとも、テイラー・スウィフトはこのタイミングを図っていたはず(テイラー・スウィフト、新アルバム「1989」が初週100万枚突破。2002年以来の最高売上を記録 | All Digital Music)。さらに具体的な理由付けとして(テイラー・スウィフトの最新アルバム『1989』を米国人はどこで購入したのか? 円グラフが話題に - amass)。

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・『1989』はターゲット(大手小売チェーン)とiTunesにおける売り上げが大半

まぁ、Windowing(CD発売日と配信サービスにおける配信日を意図的にズラすこと。よってCDの売り上げを伸ばす)の極端な一例とも言えるが、この一連の出来事に対してスポティファイ側の意見にも目を通す必要はあります(追記)。


さて、以上のレスポンスも読んで、果たして音楽において重要なのは何なんだろう、と。アーティスト、レーベル、サービス、企業、それともリスナー?それは個々の感じ方によるものとして、今回「テイラー・スウィフトに対してスポティファイが出した声明」からしても、何か音楽を取り扱う側にも格差があることに少し不安はあります。

 

カントリーガールから本格的なアメリカンポップスターとしてオシャレ女子~家族層にまで、その影響を拡げようというテイラーの戦略に、大手企業も冷や汗モノだった、という結末になってしまわぬよう、今後互いにどんな反応があるのか注目したいです。

ただ!"テイラーよ、悪いこと言わないから戻ってきて!"的なプレイリストまで公開する有り様。う~ん...カッコ悪いぞ!スポティファイ!笑

A little Playlist Poetry for Taylor Swift

 What To Play While Taylor’s Away

 

オマケを2つ。「Shake It Off」のエアロビVer. とモータウン調カバー。