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音楽について

2013 〈MY BEST ALBUM 25〉~No.25→No.18

もう11月末に差し掛かってきて、師走までの忙しなさが日本国民を襲っている真っ最中かと思います。

そんな中でやはり「年間ベストアルバム」を決める時期でもあるんですよね。個人的にこういう企画は不特定多数の音楽リスナーが自由に楽しめる共通のアトラクションとして、なるべく数多くの人に参加してもらいたいです。

で、自分もそんな不特定多数の一人として、今年も年間ベストを選んでいる最中です。毎年毎年「今年は例年以上に豊作だなぁ...」なんて常套句を口にしてますが...今年もその言葉通り、豊作な年だなぁ、と。

いつも時間に関係か自分のいい加減さのせいか洋楽しか発表できないのが歯痒いところ。なので今年こそは邦楽も含めキッチリやり遂げたい!

ということで、その布石と決意を固めるためにも、以前までは別ブログにて記述していた年間ベストをこちらに移行しておきます。ただコピペするだけでは色々と不甲斐ないので軽く修正を加え、さらに所々に《追記》として去年から今現在までのそのアーティストの活動などを振り返っています。


 

【No.25】Sigur Ros - "Kveikur"

Kveikur

今年5月の武道館公演はその音圧とオーラに涙が絞り出されてしまった…その感動込みでこのアルバムには「現在進行形のシガーロス」が詰まっているし、「これまでのシガーロス」も分かる音がしっかり選ばれているアルバムだ。シューゲイズ、ノイズ、アンビエント、ドローン。もしかしたらメタルとも言えるかもしれないほど言い当て方がそれぞれあるバンドだけに、今回のアルバムはシガーロスなりの“ウォール・オブ・ノイズ”だと言えるものになったはず。このアルバムを聴いて武道館のライブも観て確信したこと。それはとにかく過去最大級シガーロスが〈ロックしてる〉ということ。ノイズとビートがよりハッキリとした形を成し、ヨンシーのヴォーカルも、それを覆い尽くすようなコーラスもノイズ化された音像からギュッとパンプアップしている。その分、シガーロスにしては聴きやすいアルバムだと思うし、それこそ音を見事に表したアートワークも含めて、是非手に取ってほしい作品。

【No.24】Airhead - "For Yours"

For Years [帯解説・国内仕様輸入盤] (BRRS1308)

近年Jジェイムス・ブレイクという天才がその才能を遺憾なく発揮している。そんな天才の幼馴染みであり、ライブにおいてのサポートギタリストとして活躍するロバート・マクアンドリュース改めエアヘッドの満を持した1stアルバムである。ギタリストがシンセやPro Toolsなどを多用してエレクトロな作品を制作することが増え、自らのギターを一つのレイヤーとして、それをトラックアクセントに含めることは今ではそう珍しくない。このアルバムもそんなギタリストが作り上げた電子作品ではあるが、そこはジェイムス・ブレイクの幼馴染み、一筋縄ではいかない。それこそダブステップを根底には置きながら、ハウスミュージック、イングリッシュフォークへの傾倒も聴こえてくる。ブライアン・イーノとの共作「Pyramid Lake」ではレイヤー化されたダブステップに身悶えし、ジェイムス・ブレイクとの「Knives」ではこの2人ならではのダークでドープなサウンドスケープを堪能できる。ギタリストとしてのアイデンティティと内省的なメンタリティが数人のアーティストとのクリエイティブな活動により花開き枝を伸ばした末の、歪なビッグバンを引き起こしたエキセントリックなアルバムだと思う。

【No.23】Darkside - "Psychic"

Psychic

まず”ダークサイド”という名前。そして『サイキック』というアルバムタイトル。さらにこのジャケット。この3つの要素だけでどんな音楽かを言い表すことができたなら、今すぐテレビの取材を受けた方がいい。あなたこそが「サイキック」の言葉を使うに相応しい!…というのは冗談で(いや、半分は本気)。このアルバム、問題作というか2013年に喰われた作品だと思う。ニコラス・ジャーとデイヴ・ハリントンが手を組み、今年6月にはダフト・パンクの新譜をまるごとリミックスしたことでも大きな話題を生んだダークサイド。そんな二人の構築した暗黒世界はミニマルテクノから這い出るようなクラウトロック/エレクトロサウンドの“雰囲気”が折重なっている。楽しいとか完成度が高いとか、ましてや名盤と太鼓判を押す音ではない。ただ、ニコラス・ジャーには『Space Is Only Noise』(2011)という名作があるし、来年には2ndを待ち望む声も多いことを考えると、その中間地点に位置した2013年というタイミングで大胆不敵、かつ、己のフラットな面を見返す意味でも、この『Psychic』というアルバムは世に出して損はなかった、と捉えることはできる。結果、いろいろとハッキリしない質感があるにはあるけど、今年を象徴するサスペンス作品としてはマスト。

《追記》といっておきながら今年解散してしまったDarksideです 笑。デイヴのデビューEPが今年5月にニコラスのレーベル"OTHER PEOPLE"からリリースされたのも束の間、フジロック'14による来日を挟んでの解散報道。そして9/12のブルックリンにてラストライヴを実施。生で観ておきたかったなぁ...解散後の話題として"OTHER~"のレーベルコンピ第2弾として9月にリリースされた『WORK』が以下にて全曲ストリーミング可。Darksideの新曲(正しくは"Psychic"制作時にレコーディングされたもの)が2曲収録されてます。その他としてはSt.Vincentのリミックスなど。

 

【No.22】Shy Girls - "Timeshare EP" 

 

Timeshare (EP)

アメリカはオレゴン州ポートランド出身のソウルシンガーである。6曲入りのデビューEPではあるが1曲1曲の甘美な声にフルアルバム並の比重を感じるのがまさに才能だなぁ、と。ジャケットセンスからして好感が持てる。そして中身のセンスも良い。ベッドルームミュージックとしてありがちなミニマルテクノかつアンビエント調のサウンドスケープではなく、メジャーなスウィートソウルをベースに細かいコーラスやギターを取り入れてるところは見逃せない。特に「Still Not Feeling」は抜群の甘ったるさとハーモニーが最高に心地いい。もし自分がシャイ・ガールズを流してるバーでも見つけたら相当センス良いと思ってしまう。それぐらいの気品と身軽さが寝室から流れてくる時代を象徴するニューカマーとして来年も追っていきたい。

 

【No.21】Mount Kimbie - "Cold Spring Fault Less Youth"

Cold Spring Fault Less Youth [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC380)

2010年に発売された『CROOKS & LOVERS』はジェイムス・ブレイク同様、ポストダブステップを代表する作品として認知され、マウント・キンビーもその象徴の1人として大きな一歩を歩み出した。そんなポスト世代の2人が2013年にセカンドアルバムをリリース。そしてヴォーカルをフィーチャーする傾向まで似るとは。しかし、マウント・キンビーに限ってはその表現がより具現化しているのが面白い違い。ここ最近のライブパフォーマンスはエレクトロニカというよりはアシッドジャズやポストロックの領域に足を踏み入れているのも注目点の一つ。ダブという概念の自由解釈が彼の才能に火を付けたのか、ビートはパーカッシブルで、エフェクトはペダルに置き換えるなど、ライブだけじゃなく録音する場でのエキセントリックさも活かせるようになったようだ。キング・クルエルの参加も前作の延長線上にありながら、いまだ発展途上なんだと思わせる客演で、これからもその才能に期待をしたいところ。

《追記》今年はこの作品を従えてのワールドツアー、そして各フェスへの参加が主な活動だったMount Kimbie。日本にも<TAICOCLUB'14>などで来日していたのがもう懐かしいですね。彼は公式HPにてブログを更新していて、その都度チェックすると各都市の模様やDJミックスがアップされることがあります。その他Keilsのリミックスなども。

【No.20】Rhye - "Woman"

Woman

ロビン・ハンニバルとマイク・ミロシュが築き上げたジェンダーフリーソウル。確かに今年はR&B/ソウルの根強い影響力と革新的な発想がたくさん生まれた年だった。その中でもアートワーク、MV、そしてヴォーカルに至るまで、アウトプットするもの全てが両性解釈を必要とし、その究極形としてライが存在している。ここで言っておくとロビンもマイクも男である。ヴォーカルを務めるマイクの中性的なウィスパーヴォイス、ダウンテンポでありながらリスナーの内なるエロスに語り掛けるトラックメイク。2人が男であるがゆえに表現できたナイーブで官能的な世界観は個人的にとても好みだった。今年はフジロックで多くの観客から絶賛されたみたいだし、レコードとはまた一風変わったライブパフォーマンスを来年は単独公演でぜひ観たい。ロビン繋がりで言うとQuadron『Avalanche』も良かった。こちらはココ・Oの女性ヴォイスによってまた別角度のアーバンソウルを味わうことができる。性別も使い分ける新たな使い手、ロビン・ハンニバル。侮れない。

 

【No.19】Arca - "&&&&&"

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詳しくは竹内さんのエレキング記事を見てほしいけど、ぶっちゃけいまだ“?”な印象は消えない。25分38秒の1トラックに詰め込まれたインダストリアル/トリップポップ(これが多分一番近い?)トラックはノンストップで聴くからこそねじ伏せられる音楽だ。カニエ・ウェストにも注目される弱冠22歳の奇才は本当に底が見えない。というよりもカニエ、そして自身がプロデュースしたFKA twigsなどの楽曲を聴く限り、何を土台にして音楽をしているのかさえ謎だ。全編を通して深海とも宇宙とも思えない、ただダークで人肌も気配も感じることのできない音楽。でも、これを自身の音雲にてフリー公開したことも含め、22歳の若者が背景の分からない高純度のステレオミュージックを生み出した事実には拍手したい。もしかしたらデヴィッド・リンチブライアン・イーノ、いや、ヒッチコック的異端で偉大な存在に化けるかも…

 《追記》Arcaに限って言えばあまり追記する必要はないが(それだけこの1年彼が主役だったということ)、やはり2015年への布石としてもBjorkの次作を全面プロデュースすること、そして彼自身『Xen』に伴う活動をどう表現するのか、といったキーポイントを踏まえつつ近況を追いかけていきたい。

 

【No.18】The Strokes - "Comedawn Machine"

Comedown Machine

今年1月にM3「One Way Trigger」が突如公開され、その後今作の発売もアナウンスされたザ・ストロークス。新作『カムダウン・マシン』は前作の崩壊ギリギリ状態で制作されたのとは違い、各々のスケジュール管理をしっかり行った下でレコーディングされたものと思われる。それだけに今までのストロークスらしいノリとリフはそのままにオールディーズな雰囲気からよりサイケデリアを帯びたビートが多い。アルバムとしてまとまりがあり、同じ色度を持ちながら異なる彩度でストロークスなりのニューロックを鳴らしている姿に自分は胸が熱くなった。今作においてストロークス側は一切メディアにてコマーシャル活動を行っておらず、結局2013年はライブにもカムバックしなかった。来年はライブシーンに戻ると述べてはいるが…それがフェスなのかワールドツアーなのかは今後のお楽しみ。ジュリアンは自身のレーベル運営も好調で、ストロークス好きはそれらに所属するバンドを聴いてみても新しい出会いがあるはず。

《追記》6月に<Governors Ball Music Festival>へ参加するアナウンスから、ウォームアップギグも含め、バンドは今年4回しかステージに立っていない。一応2015年3月にスペインにて行われる<Primavera Sound>への参加、そして来年1月にはバンドとしてスタジオ入りするともジュリアン自身が応えている。そんなジュリアンのソロワーク含めバンドとソロの活動域が徐々に狭まっているだけに、期待と不安が半分ずつ...といったところ。

 

≪No.17→No.11に続く≫