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音楽について

2013 〈MY BEST ALBUM 25〉~No.10→No.4

【No.10】!!! - THR!!!ER

THR!!!ER [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤]

高校デビューや夏休みデビューみたいな思春期特有のモテ変化って音楽にもあると思う。バンドという形態で、しかも元々はハードコアからファンクを受け入れた音楽形式を好んでいたであろう人たちがモテ変化を取り入れたら…行き着くのはキング・オブ・ポップの後ろ姿だったのかもしれない。そんな成長と革命がタイトル『スリラー』には感じられるし、エクスクラメーションマークを3つ並べたバンドだからこそ成し遂げられたアルバムだと思う。以前までのチック・チック・チックとスタイルは変わらずとも、ダンスミュージックとしてのハウス/ディスコ色が9割を占めている。普通ならここまで振り切れてしまうと曖昧なアウトプットに萎えてしまいがちなんだけど、今作にはアガる要素はあってもダレるポイントは全くない。もうここまでやられたらただ踊るだけ。もう後はなるようになる!それぐらいポジを感じるのもまた最高だ。因みにパトリック・フォード、アンソニー・ナプレス、メイン・アトラクションズなどが参加している本作の編集盤『R!M!X!S』も合わせて聴くともう手放しでアガれます。

《追記》 ツアーやフェスなど今年は肉体的なアクションが中心だった!!!。それでも各国のメディア媒体に露出はしていて、KUTXでは「Stlyd」「One girl One Boy」「Except Death」のライヴパフォーマンスを披露。その他ではTHUMPでのミックスプレイなど。

 

【No.9】Laura Marling - "Once I Was An Eagle"

Once I Was An Eagle

ブルースは難しい音楽なのか簡単な音楽なのか。その歴史的背景は奥深く、数々の偉大なシンガーやプレイヤーを生み出してきた音楽だ。しかしギターコードはシンプルなものが多く、ゴスペルやソウルと違い特別に歌唱力が必要とされる音楽でもない。もちろん名のあるブルースシンガー達にはそれ相応の魅力があるが、それはオーディション番組で比べられるような賜物でもない。じゃあ何がブルースにとっての評価基準かと言われたら、そのアーティストのブルースに対する執着心、と答えるだろう。僅か18歳でデビューし、23歳になった2013年に4作目となる『ワンス・アイ・ワズ・アン・イーグル』をリリースしたローラ・マーリング。彼女のブルースへのこだわりはまさに執着といえる。掻き鳴らされ爪弾かれる弦が渇いたローラの声をただひたすらに活かす。前作に引き継いでイーサン・ジョンズ(ライアン・アダムスポール・マッカートニーなども手掛ける)をプロデューサーに起用し、とにかく素朴でモノクロームな語り部を軸に置いている。近年、フォーク復権という流れは少なからずあるけど、ローラにはこれからも流行歌には背を向けつつ、今作のような質の高い執着心の込められたブルースを作り続けてほしい。まだまだ執着できるはず、彼女なら。

《追記》去年末のマーキュリープライズ、そして今年のブリットアワーズにノミネートされながらどちらも受賞を逃したローラだが、ツアーにも出ずコンスタントでマイペースな活動を続けている模様。最近のニュース記事によれば次作のレコーディングがすでに開始されているとのこと(アルバム制作については否定しているも8曲ほどデモトラックが存在しているのは確か)。さらには2015年後半にワールドツアーが噂されるなどこちらをヤキモキさせる現状はもう少し続きそうかな...

【さらに追記(18/12/2014)】

来年3月に『Short Movie』なるニューアルバムがリリース。→アルバムHP

【No.8】Steven Willson - "The Raven That Refused To Sing (And Other Stories)"

The Raven That Refused To Sing (And Other Stories)

ここまでダンスミュージックやハウス、インダストリアルからヒップホップなどを選んできたけど、ふと気付けばスティーブン・ウィルソンも入っていた。というか俺プログレ大好きじゃん!と自らを鼓舞するようにこのアルバムを何度も聴き返してみる。ポーキュパイン・ツりー、ブラックフィールドでの活躍でも知られるスティーブンの3作目は王道プログレキング・クリムゾンピンク・フロイド直系のサウンドをここまで胸を張って演奏するのには驚いたけど、46歳になる彼がキング・クリムゾンやキャラバン等のステレオリマスターを依頼されている経緯を忘れていた。プレイヤー、エンジニア、プロデューサーとその数多ある才能の中心にはいつもプログレッシヴ・ロックがあって、今作ではまさにその中心が今現在表現すべきベクトルと重なったのだろう。長尺のトラックに起伏あるメロ、そしてそれらを支えるマルコ・ミネマン(Dr.)、ニック・ベッグス(Ba.)、ガスリー・ゴーバン(Gt.)、セオ・トラヴィス(Sax, Flute)、アダム・ホルツマン(Organ, Piano)らスティーブンバンドの面々によるプロフェッショナルプレイはヨダレもの。アルバムタイトルでもあるM6「The Raven That Refused To Sing」ではピアノとストリングスも含めてプログレ特有のオペラバラードをしっとりと、かつ雄大に仕上げているあたり、解り切ってやってるのがニクい。ブルーレイ盤はステレオ24bit/96kHzと5.1chサラウンドでの音質収録でオーディオマニアにも好まれているよう。来年はブラックフィールド名義での新作もリリース予定。

《追記》2015年3月にはこのアルバムに続く通算4枚目の『Hand. Cannot. Erase』をリリース。それに伴うワールドツアーも組まれるなど多忙極まりないS・ウィルソン。エンジニアとしてもXTCTears for FearsYesJethro TullSimple Mindsなどの5.1chサラウンドミックスやリマスタリングを手掛けているので、ワーカホリックな一面も相変わらず。来年は来日するかな?

【No.7】Oneohtrix Point never - "R Plus Seven"

R Plus Seven [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 6面デジパック / 国内盤 ] (BRC394)

誤解を恐れずに言えば“メロディー”とは音符の起伏による暗号技術だと思う。メロに言葉が乗っかろうが、楽器を使って表現しようが、発信者が発した情報を受け手が受信して解読するために必要な手段である。全ての音楽にはメロが存在していて、リズムやノイズだけだとしても、それを受信者が何らかのメロディーと感じ取ったなら、それは何であれメロディーなのだろう。ダニエル・ロバティンが名乗るワンオートリックス・ネヴァー・ポイント(以下OPN)による新作にはそんな暗号技術がいくつも導入されている。前衛芸術の域に達していた彼の音楽に足りなかったもの。それが“メロディー”だとするなら最高に面白い。ダンスミュージックやEDMへと流れ込まない、あくまで電子音楽としての更新術/交信術が彼にはある。最近ではソフィア・コッポラの最新作『ブリングリング』のスコアも手掛けているだけに、ここ最近のダニエルは自らの音楽の外見を少し整えたのかもしれない。それにしてもミニマルテクノエレクトロニカ、果てはゲームミュージックまでもOPNのミキサーにかけて美味しく飲み込めるようになった今の時代。リスナーの私たちは幸せ者だなぁ。ワープへの移籍、これは外見だけじゃなく中見もしっかり伴っていたのか。良かった、良かった。

《追記》今年3月の初来日公演を見逃したのは痛恨だった。音源としては2012~2013年の間にイベントやライヴ用に提供・リミックスした曲を収録し、今年のレコードストアデイにリリースされた3曲入りのEP『Commissions I』がこれまた秀逸の出来。Witold Lutosławskiの楽曲をサンプリング/リワークしたM1「Music For Steamed Rocks」。M2「Meet Your Creator」はクアッドローター(意識をもった飛行ロボット:Flight of Quadrotor - サイエンスメディアな日々 インフォグラフィクスな日々)のイベントにてパフォーマンス用に制作されたデジタルアートトラック。これは是非以下のパフォーマンス動画と共に堪能してほしい。

 M3にはミュージカル演出家/振付師として活躍したBusby Berkeleyが1934年『泥酔夢』でRuby Keelerと共に歌唱する「I Only Have Eyes for You」をPitchfolk×WIRED企画でリワーク。原曲の時代感を現在進行形でアップデートし続けるOPN流の解釈で再構築している。

【No.6】Savages - "Silence Yourself"

Silence Yourself

ここまで“怒り”の籠った音を聴いたのは久々かもしれない。パティ・スミスジョイ・ディヴィジョンを従えたかのようなこの女性4人からなるサヴェージズを安易にガールズバンドと称することは失礼だろう。単に音が尖っている、ヴォーカルを務めるジェニーのパンキッシュな容姿とかすれた怒鳴り声に刺々しさを感じる、といった感想もあるが、彼女たちには退廃感や虚無感みたいなモノが怒りの中に内包されている感じ。2011年夏に起こったロンドン暴動時に結成されたこのバンド。その時の空気や世情を溜め込んだまま今現在もロックしているのだと思う。シューゲイズやポストロックを吸収していながら、どこか従来のニューカマーとはひとまとめに出来ない立ち位置にいる彼女たちに、これからの英国音楽の一端を託したくて仕方がないのが個人的な意見。“サヴェージズ”(=野蛮人、未開人)と名乗るバンドだけに気持ちいいぐらい名前負けしてないデビューアルバム。最高。

《追記》今年1月の来日公演はライブハウスというステージ規模もあってか、とにかく彼女たちの暴力的で繊細なそのラウドパンクに胸打たれた。11月にはBO NINGENとのスプリットシングル『Words to the Blind』をリリース。ロンドンでのバーサス形式での対バンはトリハダもの。その模様はコチラで。

5月にはSuicide「Dream Baby Dream」を収めた12インチシングルを発売。メランコリーなサウンドが彼女たちの手によってポストパンクへと昇華されているのがとても幻想的だ。来年は2ndアルバムがどうなるか....楽しみですね。

【No.5】Disclosure - "Settle"

Settle

ディスクロージャーとアルーナジョージがデビューし、ここ日本でツーマンライブを行った事を思い出すと今年はやっぱり“ダンスミュージックの年”だったんだなぁ、と思うわけで。それはシーンやブームとは関係なく、万人が身体を揺らして縦にも横にもノリたいんだということの証。だからこそ2組が同時に英国、そして日本で受け入れられたのはもう当然だと思う。今作はクラブからアリーナまでを躍らせるアンセムトラックが敷き詰められていて、アルーナジョージ、サム・スミス、ジェイミー・ウーン、ジェシー・ウェア、ロンドン・グラマーなど彼らと同世代デビューを飾る布陣が客演参加しているのも当初から話題になっていた。蓋を開けてみれば今年のフェスアンセムにもなったアルーナとの「White Noise」がまさにワールドワイドに浸透していき、CDショップからファストフード店に至るまで、とにかくスタンダードポップスとして鳴っていたのにもこの世代では頭一つ抜けた事を物語っている。若いローレンス兄弟(兄のガイが22歳、弟のハワード19歳というから驚き!)がダブステップやソウル、ガレージロックを背景に生み出した王道のハウス/ダンスミュージックは、2014年もいろんな人やシーンを巻き込む台風の目になるのは間違いないでしょう。

《追記》最後の一文通り、巻き込みましたね、色々と。その象徴として最近発売された  Mary J. BligeLondon Sessions』でのコラボレートは、2013年から続く彼らのハウスミュージックのニュースタンダードが見事に英国シーン、そして米国R&Bシーンへと受け入れられたことを物語っている。このアルバム、メアリーの新作としても注目だが、Disclosure以外にもSam Smith、Emeli Sande、Jimmy Napes、Naughty Boy、Sam Romans、Eg Whiteらまさに新進気鋭のニューカマーなどとトラッメイクしていることも見逃してはならない。彼ら兄弟への注目の度合いは如実今に年のフェスシーズンに表れたといっていいほど、メインステージへのランクアップやセカンドステージでのヘッドライナーとしての仕事が急増した。

と、「London Session」やフェスにおける彼らの売れっ子ぶりこそ2014年のおけるピークだと思っているなら、それは少し違う。間違いなく彼らのハイライトは2月の行われた「BRIT Awards」でのLorde、AlunaGeorgeとのコラボパフォーマンスだろう。"Roylas"~"White Noise"へとシフトする展開には、2014年から15年度へと流れていく何か深い意味合いがあるだろうと、今見ると改めて考えることができる。

細かい部分としてはファレルの「Frontin' (ft. Jay Z)」をリワークしたのが好感触。

 

【No.4】Volcano Choir - "Repave"

Repave

ボン・イヴェールことジャスティン・バーノンとコレクションズ・オブ・コロニーズ・オブ・ビーズによる“マブダチ”バンド…いや、これがただの馴れ合いセッションから生まれた音楽だとしたら興奮モノだ。前作『Unmap』リリース後、一度限りのライブパフォーマンスの場としてここ日本を選んだバンドは、その一度限りのパフォーマンスで想像以上の満足感と可能性をこのユニットに見出してしまう。そこからボン・イヴェールのブレイクがあるものの、彼のアンビエント・フォークとコレクションズ~のポストロック性が同郷(2組ともウィスコンシン州出身)だからこその阿吽の呼吸で見事に溶け合い、さらにお互いの長所を噛み合わせるように進化したのが、今作にはよく表れている。『リペイブ』には目論見も魂胆もなにもない、とにかくジャスティンとコレクションズによるウィスコンシン讃歌がただただ結晶化されている。爪弾かれるアルペジオ、エコーのかかったジャスティンの歌声、ライブハウスから野外スタジアムまで全てに集約してしまいそうなコアとスペースが共存する音が2013年には新鮮で懐かしくも感じる。ということで、いち早くこのアルバムを従えて再び来日してほしい。次作を作るための踏み台としてまた日本が機能するなら、ウィスコンシン同様、いつでも帰ってきてほしい。

まずはCollections of Colonies of Beesが新作『セット』を日本先行で発売。さらにtoeとのカップリングツアーを三度行うなど、今年前半にかけてはCOCOBの活動がここ日本を中心に目立っていた。一方ジャスティンはというとTV番組でThe Rootsと共演したり、Sharon Van Ettenのライヴにゲスト出演したり、映画『Wish I Was Here』のサントラに参加(新曲は3年振り)したりとアメリカンなニュースが多かった。またThe Rosebuds『Sand + Silence』のプロデュース、ミネアポリスのラッパーAstronautalisと組んだユニットでアルバム『De Oro』もリリース。しっかりとアンダーグラウンドな領域での仕事もこなしている。

今年後半には小規模ながら各フェスへの出演も含め、Volcano Choirのツアーを行っていたことを考えると一先ずこのプロジェクトはひと段落かと(結局来日しなかったけどね、ジャスティンは)。来年はいよいよBon Iverの新作が期待されるが、そこに至るまでどんなアクションが起こるのか。

最近公開された「Tiderays」のMV。

 去年貼り忘れた"Comrade"のリミックスEP。4曲すべてフリー。

 

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