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音楽について

MY 20 RECOMMEND TRACK 2014

この前の記事では洋楽の年間ベストを40枚ほど紹介しました。いやぁ、頭の中が整理できて、改めて調べ直したりアルバムを聞き返したりと2014年を遡るように楽しむことができました。是非自分の趣味に合わずともYoutubeで検索などして見て、多くの刺激的な音楽に出会うキッカケになってほしいと思います。

さて、洋楽がある…ということはもちろん邦楽も…と思ったのですが、アルバム単位の方は後ほど掲載します(おそらく年越えますね、すいません)。が、ベストトラックというわけでもないですが、今年自分にとってよく聴いた、感動した、思わず踊ったというエポックメイキングな楽曲を20曲選びました。正直言えば50曲ぐらいざらっと紹介できそうなんですが、そんなに紹介しても書いてるコッチも読んでるソッチも飽きてくると思ったのでこの数量にまとめました。

簡単な感想も付け足したので、年を越えても尚これらの曲が2015年のシーンの変化の予兆となったと思えるよう、一度目を通してみてはいかがでしょう?

それではどうぞ。

 

 

赤い公園 - NOW ON AIR

彼女たちが目指すロックとポップスの真骨頂。微笑みと涙が手を繋ぐように、ラジオの周波数が僕とあなたを繋げていく。アグレッシブで力強いサウンドメイクなのに、メロディーと言葉に泣かされる。

ねごと - 黄昏のラプソディ

テクニカルで絶妙に絡み合うバンドアンサンブルと変幻自在に聴き手の気持ちを染める音色の魔法に脱帽。ハネるリズムに夕暮れを漂う哀愁の心。ここまで研ぎ澄まされたポップスにときめかずにどうするんだ、と。

YUKI - 誰でもロンリー

give me walletsYUKIの化学反応がクイーンオブザポップスの称号を確実なモノにし、縦に横にステップを踏ませ、通学路も職場もレストランもダンスフロアに変えてしまいそうなくらいクラクラくるキラーチューン。シングルに収録されたSeihoやけのはらによるリミックスも聴き応えバッチリ。

サカナクション - ミュージック (Cornelius Remix)

※動画がないので収録されたシングル『さよならはエモーション』を

オリジナルのドラマティックな展開をCorneliusが再構築。ゴールデンタイムから深夜枠にスライドしたようなセンチメンタルなアレンジは、ピッチすら変え、語幹のイメージに寄り添う形でのアコースティックな質感へと新たなる解釈を掲示。ミュージシャン同士、お互いが尊敬と愛情を持った関係性なのだと、何度も再生しては何か誇らしくもなった。

チームしゃちほこ – いいくらし

この曲ナシで今年のアイドルは語れないと言わしめるほど幅広い意味でエポックメイキングな作品となった曲。随所に引用箇所が見られながら、それをクリエイティブな土壌で200%の熱量で制作することでオリジナリティな曲だと納得させる。アイドルソングとしての遊び心とそのアイドルの未開拓な強みを引き出した傑作。

岡村靖幸 with 小出祐介 - 愛はおしゃれじゃない

“愛おしゃ”なんて短縮形が生まれるほどリスナーに愛着を湧かせる2人の天才による共演。詰め込み過ぎないトラック、妄想と欲望が交差するプラトニックなキャッチコピー的リリック。やっぱり男ならモテたいし、一発キメたいよね。リフレインするリフ、ボリュームを上げたくなるビート、キュートなピチカートがたまらない。

ハルカトミユキ - その日がきたら

触れたら気付けてしまいそうなガラス細工の世界観と、決して傷の付くことのない、寧ろこちらを傷付けようと襲いかかってくるような頑丈で鋭利な言葉の洪水。なんてことない一日に起こる刹那を凝縮して“その日”を想う。「こんな歌なんて燃えてしまえばいい」というフレーズが胸を抉り「幸せになろう」と癒しを与える。一皮剥けてより独自な音楽性を確立しつつある2人の活躍が今からさらに楽しみ。

tofubeats - ディスコの神様 feat.藤井隆

お笑い界きっての音楽好き藤井隆と新進気鋭で時代を汲み取るtofubeatsがお送りする流行りのディスコナンバー。池田ともこ(Shiggy Jr.)とラブリーサマーちゃんをゲストコーラスに招き入れるフックアップ精神も踏まえて、ネガティブばかりな事象を批評的な口調でツイートする音楽リスナーにも、プロフィールに“邦ロック全般好き”と書いてある人にも届いたであろう、今年を代表するボーダレスチューンとなった。

さいとうまりな - はじまるふたり

このブログでも特集したぐらい(有難いことに結構アクセスありました)個人的に今年の夏には欠かせなかった作品。4曲どれもが素晴らしい平成産シティポップだが、ここでは堂島孝平氏の筆によるタイトルソング。キャッチーであることが最大の武器であり、男女の恋の発火点を胸キュンで描く内容に柄にもなく興奮してしまったのはここだけの話。サビでのハンドクラップがハッとさせられます。

シティポップに憧れて~さいとうまりな『はじまるふたり』をカーステに - out-focus

ゆいかおり - Intro Situation


作曲を俊龍SKE48水樹奈々など)作詞を松井五郎が担当した王道サマーチューン。アイドルソング定番のギターによるメロディーの牽引力とそこに負けない松井氏による定番キーワードの組み合わせ、そして小倉唯石原夏織によるソロ/ユニゾンのヴォーカルワーク。もう聴き終えたら拍手してしまったぐらい正攻法で風化することのない永遠の夏が曲ここにあります。

平賀さち枝ホームカミングス - 白い光の朝に

高純度のポップスを聴いた後に耳を傾ける。それは都会の雑踏から離れ、のどかな畦道の空気に身体が喜びを表すような懐かしさ。フォーキーで聞き覚えのあるメロディーが誰しもが持つ原風景を通じて多くの街に届いてくれたら…と来年も思い続けるでしょう。

GALETTe – じゃじゃ馬と呼ばないで

今年リリースされたシングル全てが傑作だった彼女たちだが、その存在を知るキッカケにもなったこの曲を改めて聴くと自身が興味を持ったのも納得せざるを得ない。それもそのはずで、東京女子流などを主に手掛ける松井寛氏から師事を受けた筑田浩志が作詞作曲を担当。ディスコティックなサウンドと少女の日常がまるでディズニーワールドのように演出されていく世界観には、自分の音楽のツボを的確に突かれたような衝撃を受けました。

Shiggy Jr. – beby I love you

※動画がないので収録されている『LISTEN TO THE MUSIC』からタイトルトラックを

すでに同タイトルにはくるりやTEEといった有名曲が数々存在するが、この曲もそれらと並べても何も躊躇なく「名曲」と言われてもいいはず。よく研究されているというか、カッティングやアルペジオ、Bメロからサビまでの持って行き方など耳馴染みの良さを象徴とする部分のオンパレード。コーラス1つとっても幾重にも緻密なラインを組み合わせていて、頭で考えてもここまでキレイに落とし込めるのかと度肝を抜かれた。まぁそんな構造論を差し引いても、胸キュン必死なミドルナンバーなんで。

つりピット – 踊ろよ、フィッシュ

これもまたこのブログで特集したので、それはもう夏にヘビロテしましたよ。山下達郎がタイアップ先行で制作した1987年の原曲を大胆かつシンプルにアレンジ。BPMを上げたはいるものの、本来の爽快感やサマータイム感は決して損なわれていない。寧ろ少女たちが歌うことで青春性のような限られたゴールデンタイムを新たな文脈として付け加えることで、誰かに消費されることで何らかの意味を生む曲本来のキャッチコピーな的な一面が浮かび上がってきたナイスカバーだと思う。

つりビットの山下達郎「踊ろよ、フィッシュ」カバー、良いよね - out-focus

禁断の多数決 - ちゅうとはんぱはやめて feat.泉まくら

エスニック調のイントロから摩訶不思議な多数決ワールドに突入。そのまま泉まくらのアンニュイなライム&シングへと移行していくのだが、サビのドリームポップな羅列と、泉まくらの心情を色濃く投射したメロ部分では全く受け取り方が異なる。それをアーバンなトラックが下地で繋ぐように無理なくまとめているのが「ちゅうとはんぱ」ではないところなんだけど、もっとこうセンシティブな肌触りを持った、鬼気迫りながら見ないフリをする現代的な温度感を孕んだ楽曲だと思う。

TAMTAM – クライマクス

個人的にブレイクバンドとして今年追っていた新世代ダブダンドTAMTAM。重厚なベースとドラム、軽快なキーボード、ラストの迫るディストーションなど再現性の高いオリジナリティ溢れるアレンジ、そしてダブやレゲェに造詣の深いKuroのヴォーカルが何よりポップで親しみやすい理由だろう。リヴァーブの効いたスネアに目を覚まさせられるほど、生半可な姿勢で聴くと痛い目を見る最高のカウンターソングだ。

星野源 – Crazy Crazy

クレイジーキャッツへの愛。音楽や演劇への執着。昨今のヒットチャートにおける毒薬。この曲には本当に泣かされたし、楽しい気分にさせられた。ピエール中野凛として時雨)、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)の超絶技巧も卓越している。この曲から大衆歌謡の60年間がちゃんと受け継がれて、しっかりとその時代ごとの解釈でアップデートされている事実に嬉しさと同時に、J-POPの先行きの明るさも感じることができましたね。

Chara x 韻シスト – I don’t know

元々韻シストは好きだったけど、去年嵐のアルバム『LOVE』に櫻井翔ソロ曲<sugar and salt>の作曲としてクレジットされているのには驚いたし、その曲が櫻井自身の綴るラップと非常に相性が良く、再び彼らの技術の高さを再検証するになったのだった。で、このCharaとのコラボも秀逸としか言えない。ムーディーでダーティーな大人の雰囲気を甘く丹精にパッケージしたこのシングルは、来年もアバンチュールな体験とセットで聴きたくなる

乃木坂46 - あの日、僕は咄嗟に嘘をついた

10thシングル『何度目の青空か?』のType-Cに収録されたカップリング曲。三輪智也氏作曲で打ち込みのベーストラックの上をクラシカルなピアノが印象的に駆ける良曲。AKB系の曲をその枠組みだけでオワコンとする人がいるならば、それはもう可哀想な限りである。これは同シングルタイプに収録のMVも素晴らしいのだが、『櫻の園』(1990年)の監督湯浅弘章がそのオマージュとしてメガホンを取っている。

きのこ帝国– 東京

名曲。解き放たれた才能がその全てを持って、2つの眼で見た1つの街をを歌うとこんなにも霞むほど美しい青空に音を投げることができるのか。ラブソングであるにしても、その受け取り方はストレートでも変化球でも構わない。サウンド面で放出する熱を巧みにコントロールできるようになった点と、ヴォーカル佐藤によるソングライティングの劇的な深化、何より歌へのアプローチが非常に密接になっている。この1曲が生まれただけでも今年は意味があったと言えるし、この先のバンドがどんな飛躍を遂げるかが気になるところ。