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音楽について

想い出を捨てずに~10 Memories~

明けましておめでとうございます。新年一発目ということで色々と書いていこう!...と躍起になってはいるものの、業務に支障なく、日常生活にも無理のない程度に更新していこうと思っております(笑)。去年よりは投稿数増やしますよ、絶対。

そんな2015年を迎えてShe&HimやBandcamp等の紹介をしようかな?とWordを開きつつも、このブログの"下書き"ばかりが気になって気になって。要は書いたはいいものの、投稿するタイミングを逃したり(情報も鮮度がありますから)、まとめたはいいがイマイチ消化不良な括りになってしまっていたり。そんな埋没ならぬ"Myボツ"の烙印を勝手に押されてしまったトピックを2015年最初に解消しようではないか、と。

でも、まとめたモノはまとめたモノだし、何か冷蔵庫の余り物で美味しい料理を創作できたつもりで(例えが悪いですが...)、つらつらと補足も含めて以下に。 

・Vanilla - Sweet Talk

UKのプロデューサーであるVannilaが2011年から着手しているビートテープ3部作の最終章。『High Life』(2011)『Soft Focus』(2012)といったいずれも27曲入りのnyp形式であり、その中身は1〜3分ほどの短尺トラックが数珠繋ぎのように紡いでいくラフメイクな構成。サンフランシスコのデジタルデザイナーであるTonio Alucemaが手掛ける70'sフレンチポップス感抜群のジャケットも合わせて、ウォークマンに入れておいて損ナシの作品。(各作品2015年現在もname your price形式でダウンロード可能)

そんなVannilaによるBeyonce<Party>のリミックスがフリーダウンロード可能。ダウンロードこのmediafileから。

 さらに2015年を祝した新曲もドロップ。これもコチラのファイルから。

 

カジヒデキ - ICE CREAM MAN

ICE CREAM MAN

インタビューなどを読んでから聞き返すとその音楽をより理解できることがある。野宮真貴坂本美雨小島麻由美、SHOKO、YURINA(住所不定無職)、かせきさいだぁKEISHI TANAKA佐藤寛(KONCOS)などをゲストに迎えていること、曲によってマッドチェスター、ピチカート・ファイブ、ナイアガラサウンドなどを軸にしていることも含め、音楽愛の塊をすんなりと夏に溶かして聴かせてしまうカジヒデキはやはり天才である。Jonathan Richman & The Modern Loversの名曲<Ice Cream Man>から得たその名のように、音色と言葉によって土地や季節、時間や匂いなどを追体験させてくれるアルバムだ。カジヒデキの音楽はついついそのルーツも聴き合わせたくなる。そこがまた音楽の深みであり楽しいところ。

片平里菜 - amazing sky

amazing sky (初回限定盤)(DVD付き)

音楽の歴史を振り返って面白いと思うのは、どの国どの時代にも必ず「その時代を象徴する女性シンガー」が存在する、ということ。そしてそれは音楽を10年単位で線引きする際、そのセパレートされた10年の中で勝者と呼ばれるべき女性シンガーは片手で数えられるほどしかいない。そんな数えられる中で、 2000年代以降はYUIに始まり、そして現在はmiwaがその頂に君臨しているわけだが、片平里菜の存在はそんなmiwaの独壇場にはならない、音楽の反作用を持ち合わせている。<Oh JANE>などに見せる肉食女子の一面もそうだし、マイナーとメジャーを一曲の中で絶妙に絡ませていくメロディセンスなど、10年代前半戦を締めくくる今年に世に出されるべくして出されたアルバムだ。

山下達郎 - Big Wave (30th Anniversary Edition)

Big Wave (30th Anniversary Edition)

初めてこのアルバムを聴いたのは中学3年の夏だったのを今でもよく覚えているし、『MELODIES』や『RIDE ON TIME』などポピュラーな作品しか知らなかった自分にとってこのアルバムは本当に不思議な質感を持って耳に入ってきた。The Beach Boysは聴いていたしBrian Willsonのメロディラインに耳が慣れていたせいか、15歳の自分には夏といえばコレ!と言わせてしまうほどの洗脳力があった摩訶不思議な作品だと、10年経った今でも変わらずに感じることができる。そんな個人的思い入れもあるリマスター作品は…なるほど、より聴きやすい。サウンドトラックとしての役割と、山下達郎自身のルーツを紐解く一面が合わさったこのアルバムは、アコースティックギターの艶やかさやベースの中音域がグッと鮮明に聴こえる。2013年12月に亡くなったドラマーの青山純氏が奏でるドラミングも、改めて今もなお音の中で呼吸し続けてる事を確認できる一枚。

Basement Jaxx - Junto

 

Junto (Deluxe Version)

The Chemical BrothersUnderworld、近しいところならDigitalism、Justice、そしてDiclosureなどのエレクトロダンス、ハウスに流れを持った流行の音同様、Bassement Jaxx流最新形ハウスを見事に鳴らせてみせた。Daft Punkの新たな成功に合わせて「自分たちの好きな音楽」をそのまま具現化したのが、今作では気持ちいいくらい風通しの良さを感じる要因の一つだろう。デラックス盤にはリミックスやChara参加曲など本編同様にハイクオリティなトラックが収録されてるので、是非そちらを。

 ・Czecho No Republic - MANTLE

MANTLE 【初回限定盤】

去年の夏はとにかく暑かった。その暑さや熱気にやられ、理屈や理由なしに突発的に騒いでしまった人も多いのでは?チェコの2ndはそんなハチャメチャな行動欲を茂る密林の中で発散させたかのように、ザワザワと演奏がシンガロングを促すブルックリン産ビートミュージックである。Vampire Weekendのようなアフロビート、Grizzly Bear直下のシンセコラージュなど実に洋楽志向なことに中々気付いてない人も多いのでは?邦楽や洋楽は国境が定めた間仕切り。この間仕切りにも窓はあって、彼らはその窓を自在に開け閉めできるのだと思う。J-POPとしての歌寄りな捉え方も一つの解釈として大事だし、こういう類のバンドがちゃんと大衆に向けて音楽してるのが嬉しくてたまらない。

For Tracy Hyde - In Fear Of Love

ラブリーサマーちゃんが加入したことで話題になったFor Tracy HydeのEP。初期My Bloody Valentineに見られるネオアコ要素が全体を覆いつつ、「笑い話」「さらばアトランティス鉄道」では彼らがライクアーティストとして掲げているThe Stone RosesNeon Indianのようなマッドチェスターとチルウェイヴの残り香を感じることができる。ラブリーサマーちゃんとバンドサウンドアンビバレントに結合し、流行り廃り云々よりも大衆的に受け入れられやすい音楽を配置するバンドの経営方針はTwitterSoundCloud、そしてBandcampを軸にソーシャルネットシーンからはみ出すほどの力がある。

odol - 生活/ふたり、躍る

去年のフジロックのルーキー・ア・ゴーゴーに出演しているこのバンド。様々な活動を経て2014年2月に結成したばかりだというからそのジャンプアップ振りに個人的に興味を持った次第。で、これが大当たり。アベレージ20歳のこのバンドに見る脱力と咆哮の燃焼は哲学的であり、対して流行への無関心とも捉えられそうだ。~のバンドみたいだという比喩は容易いが、こればかりは上記プレイヤーにて再生ボタンを押して自己判断してほしい。何より音が良い、ということも強みとして。

そんなodolは今年1/10に自信のSoundCloud上で新曲<愛している>を公開。ヘヴィーなバンドサウンドにメロウなピアノが絡まり、プログレッシブな装いをより深化させている。これは音源でほしい。

 ・Tonstartssbandht - Overseas

AndyEdwinによるWhite兄弟が織り成すフロリダから飛び出したサイケデリックデユオ。以前はGrimesが所属し、今もTOPSが在籍しているカナダはモントリオールArbutus Recordsから出てきた彼ら。Dirty Beachesの友人でもある彼らの2013年に行われた欧州ツアーなどからの音源集である今作は7/11にピッチフォークにて8.0という高得点を記録したことでも話題になりましたね。ライヴセッションによるものなので音質面ではロークオリティーだが、内容はガレージパンクを筆頭にシューゲイズ、ミニマル、チル、サーフロックなど幅広い受け取り方ができる。これをname your priceで提供することにも彼らの活動図式の開放感を感じますね。因みにEdwinは別名義Eolaでも活動している。BCでは3枚もアルバムがあり、『Living』は同様にnypで提供されてます。

・Arch Woodmann - Palm is the secret place

パリを拠点に活動しているArch Woodmann。ポストパンク、ガレージロックをストレートに鳴らしたバンドサウンドが特徴だけど、どうやらバンドではなくソロプロジェクトらしい。Broken Social Scene, Tortoiseなど民族的なアプローチも感じさせるだけに、トロント、シカゴ産の対ブルックリンインディーに興味ある方にはオススメ。他にもnypでダウンロードできるEPアリ。