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音楽について

Monthly Recommend~January

毎年、年末には年間ベストを自分なりに四苦八苦して書き留めておくのですが、思うにそれも日々の蓄積、いや、情報をいかに整理出来ているかでまとめる度合いもスピードも変わってくるのではないか?つまりはもう少し短いスパンにて自分の意見や言葉をアウトプットしておくことで、後々自分にも、そして思わず目を通した人にも認知しやすいのではないか…ということでマンスリー企画を実行します。「先月良く聴いたディスク」と言い換えればよくあるカテゴリだと思いますが、少し脳内整理も含めて。あと更新速度を自分なりに早める為にも枷として…笑

取り上げる音源はリリースフォーマットを指定せずチョイスします。BandcampやSoundCloud等の音源も気になればピックアップしますし、企画モノでも個人的に引っ掛かれば書き留めておこうと思います。枚数制限も無いので少ない月も出てくるかもしれませんね…そこは悪しからず。

※ちょいちょい手直したり情報を追加したりすると思います

 

Panda Bear - Panda Bear Meets The Grim Reaper(Domino:1/12)

Panda Bear Meets The Grim Reaper

Animal Collectiveのメロディーメイカーとしても機能し、近年はDaft PunkRandom Access Memories』にも参加したことでバンドのメンバーとしてではなくソロ活動も充実されているPanda Bear。現在36歳とクリエイティブな脂がのってくるベストタイミングに通算5枚目のアルバムがリリース。タイトルの『Panda Bear Meets The Grim Reaper』(=パンダ・ベア、死神と出会う)がそれまでの作風とは別のベクトルをほのめかしている。彼特有のエキゾチックユートピア溢れるメロディーがリズムやビートから引っ張られるようなプロセスを経て制作された点はこれまでと大きな違いはないと言えるが、Panda Bear、つまりはNoah Lennox自身のスピリチュアルな面での解放と開放が聴き手の耳に伝染してくるアルバムだ。チャイコフスキーくるみ割り人形”やドビュッシーアラベスク第1番”を引用したクラシックベースな楽曲と限られたサンプリング素材、そして何より彼のヴォーカリストとしての魅力がハイトーンかつプリミティブな配色として落とし込まれている繊細な作品でもある。過去作を知らずとも、Animal Collectiveを聞かずともここからPanda Bearに出会える人がいたのなら、それはとても幸せ者だろう。


interview with Panda Bear - こんにちは、死神。 | パンダ・ベア、アニマル・コレクティヴ、エイヴィ・テア、ノア・レノックス | ele-king

Belle and Sebastian – Girls In Peacetime Want to Dance (Matador:1/14)

Girls In Peacetime Want To Dance

 

ベルセバだけは書き直しました…何故なら2/21に《Hostess Club Weekender》で観た彼らのライブがこの最新作を掲げた内容ではなく、彼らの伝家の宝刀とでも言おう悲哀や歓喜をかき混ぜた祝祭ムード満載の内容だったから(Setlist at Hostess Club Weekender)。エレクトロサウンドを大胆に採用し、それまでのアイリッシュやケルティッシュの要素がどこか影を潜めてしまった点に少し消化不良を感じていたのは、おそらく自分が“ベルセバ保守派”だったからだろう。しかしライブで見た活きた彼らの音楽とStuart Murdochという天邪鬼を見てから、180度意見が変わってしまった。2014年にStuartが脚本・監督を務めた映画『God Help the Girl』のサウンドトラックがリリースされたが(日本でも映画が4月に公開)、そこにはバンドメンバーも当然のように参加していて、むしろこのサントラの方こそ伝統的なベルセバらしさがある。もちろんStuartが主体となっているバンドなのだから驚くことでもないが(バンド名義では2002年にTodd Solondzが監督した映画のサントラとして『Storytelling』をリリースしている)、あまりにも彼とBelle and Sebastianの境界線が自分の中では曖昧になってしまったのかもしれない。そんな思考を引きずったままに聴いた『Girl In~』を半ば強引に受け入れようとしていたが、HCWで過去曲に違和感なく溶け込み、<Perfect Couples>ではギターのStevieがヴォーカル、Stuartがパーカッションにパートチェンジするなど、視覚的にも新たなバンドの意思を掲示する内容に改めてこのアルバムの本質を見た気がする。振り返れば、グラスゴーの音楽学校に通う専門学生だったStuartが職業訓練所で出会ったメンバーと共に学校内のレーベルからアルバムをリリースしたのが始まりなのだ。内輪ノリのようで、誰もがその輪の中へ入れるような、間口かどうかすら分からないほど巨大な音楽の入り口を設けることに見事成功していることを、今ではこのアルバムからしっかりと確認できる。そういえば最近発売されたバニラビーンズのアルバム『』にて彼らのFunny Little Frogがカバーされていた。選曲は悪くないがもう少しファンタジックな楽曲をチョイスしても良かったとも思う。

余談を一つ。そういうえばバンドの創設メンバーでもあったStuart David(現在は執筆活動と自身のバンドLooperで活躍中)がバンド結成の回想記を執筆しているニュースが去年流れたが(ステュアート・デイヴィッド、ベルセバの結成時を振り返る回想記を執筆中 )、どうやら来月出版されるらしい。バンド結成以前の出会いから『Tigermilk』の完成記念パーティーまでを詳細に綴っているというその内容、ぜひ読んでみたい…

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今どきベルセバなの? あるいは、そもそもベルセバって何? というユースに教えます。 2015年の「今こそベルセバだ」という理由 | the sign magazine

Sleater-Kinney – No Cities to Love (Sub Pop:1/14)

【Amazon.co.jp限定】No Cities To Love [帯解説・ボーナストラック収録 / 国内盤] 特典ステッカー付 (TRCP179)_043

この3,4年「○○が再結成!○○年振りに新作を発表!」という触れ込みを何度見ただろう?そして皆その常套句に騒ぎ、新作を買い、来日公演に沸く。ありきたりな流れではあるが自分もバッチリその流れにライディング中…それでも前作から10年、デビューからちょうど20年の節目である今年、紛れもないコリン、キャリー、ジャネットによるタイトでラウドなガレージパンクサウンドが復活。解散から再結成までコリンはThe Corin Tucker Band、キャリー、ジャネットはWild Flagでそれぞれ活動。2013年にPearl Jamのステージで3人が揃ってプレイする以前から各々Sleater-Kinneyとしての制作は進めていたよう。そんな紆余曲折というよりは当然の経緯で再び同じスタジオに集った3人の新作は、彼女たちの作品では欠かすことのできないJohn Goodmansプロデュースでレコーディングされた。勢い任せでワンテイクのセッションレコーディングと思いきや、幾度となくミーティングと録り直しを重ねた結果が今作における細部まで組み込みれたソリッド感を作り出している。そしてリリックやタイトルでも分かる通り、今現在のアメリカ、または世界における理不尽な環境で苦しみ足掻いている人々の思いを代弁するかのような怒りの熱量も楽曲に込められていることを意識して聴いてもらいたい。ただ単に再結成したバンドの新作として受け取らず、Sleater-Kinneyが2015年に『No Cities to Love』をリリースした理由を禅問答しながら身を揺らしてほしい。そんな思想や再結成の経緯も含めたコリンのインタビューも合わせて読んでおいてほしい。

[INTERVIEW] Sleater-Kinney | Monchicon!

乃木坂46 - 透明な色( Sony Music:1/27)

透明な色(Type-A)(DVD付)

結成から約3年半。シングルも10枚リリースしながらアルバムとしてパッケージされたのは今回が初。AKBグループではお馴染みのフォーマットなのが少し気になるが、Disc2のカップリング集にはファンの意見を反映させた背景が伺える。アルバム用の新録としてはAKb48小嶋陽菜を迎えた特別ユニット”こじ坂46”によるオートチューンを駆使した哀愁あるエレポップ曲<傾斜する>。<ひとりよがり><あなたのために弾きたい>はそれぞれと西野七瀬生田絵梨花によるソロ曲であり、各々が今現在までにグループ、もしくは個人的な歩みの中で感じてきたであろう想いを描写した内容が何とも切なく感慨深い。確かに最近に活動経過やスキャンダラスな要素も踏まえて停滞期、低迷期と判断する人もいるだろうが、そういう人には個人個人での発言や行動によるグループとしての決意を感じ取ってほしい。小難しいアイドル論よりもエピソディックな形で少女たちが紡いでいく歴史を知れば、一方的な偏見の壁すらくだらないことだと分かってもらえるだろう。


乃木坂46、秋元真夏・生田絵梨花・高山一実インタビュー 2014年に起きたグループの一大変化とは? - Real Sound|リアルサウンド

 

安藤裕子 – あなたが寝てる間に (cutting edge:1/28)

あなたが寝てる間に

シンガソングライターという形容では説明してはいけない人がいるならば、安藤裕子も間違いなくその括りに入るだろう。あくまで聴き手の自由な解釈が音楽における想像性や可能性の範囲を無限なものにしているが、彼女が歌う、そして紡ぐ言葉には“限りあるものの尊さ”が常に介在していたように思う。通算8枚目となるアルバムは、そんな尊さや彼女のスピリチュアルな世界から少し距離を置いた内容になっている。前作『グッド・バイ』(2013)では震災や出産、祖母の死といった死生観がサウンドにも反映され、それまでの安藤裕子がそこで息絶えてしまったかのような、そんな終幕感すら感じた。それでも去年リリースされ、デビューアルバムからの楽曲を中心にライブアレンジを基調としたリアレンジ作品『Acoustic Tempo Magic』(2014)に収められた新曲<世界をかえるつもりはない>、そして原田知世のカバー<早春物語>が今回の『あなたが~』に繋がる部分として非常に重要なファクターとなったと推測する。例えば<世界を~>はバンドレコーディングとして今作にも収録されているが、ピアノとアコギのみの素朴で息遣いがテンポを生むライブ感に彼女の録音音源における丹精込めた愛情を感じずにはいられない。カバー曲をライブで歌うことは彼女のファンならばお馴染みのことだと思うが、ライブ音源ではなく、それをアコースティックなコンセプトの下、自曲と共に並べ音源化した経緯は今作においてPharrell WilliamsHappy>にインスピレーションを受けたという<Live And Let Die>に見らえる大胆なオマージュにも繋がっている。アルバムのラストの<都会の空を鳥が舞う>は『グッド・バイ』制作時には存在していたらしく、その時系列を考えると死の香りが漂うスタートラインをゴールテープにも置き換え、より安藤裕子のパーソナルな領域から生まれる限りの“生きていることで感じられるポップな音色”が新曲には色濃く表れることとなった。<レガート>のひと夏の思い出も、そのタイトル通り季節モノとして生まれた<クリスマスの恋人>、松本淳一によるアレンジによる地に足付いたメランコリアが確立された10年越しの結晶<森のくまさん>など過去のどの作品よりも束縛のないアルバムだと思う。山本隆二佐野康夫末光篤SUEMITSU & THE SUEMITH)、柏倉隆史toe, the HIATUS)、伊藤大地SAKEROCK)などアレンジャーやプレイヤー等のクレジットも気にしてみるとより幅広くこのアルバムを楽しめるはず。


安藤裕子の新作『あなたが寝てる間に』は、ヒューマニズム溢れるポップアルバム | スペシャル | EMTG MUSIC


安藤裕子 「ディレクターによるニューアルバム『あなたが寝てる間に』制作備忘録」公開|HMV ONLINE

SEKAI NO OWARI - Tree(TOY'S FACTORY:1/14)

Tree(初回限定盤CD+DVD)

「ドラゲナイ現象」とやらに興味はないが、いよいよこのアルバムで「国民的」という形容詞を背負っても何ら異論のない存在になったのだと確信。ドキュメンタリーフィルムや紅白というトピックスは話題として彼らの名を広める意味として効果はあった。しかし、それ以上にこの『Tree』のアルバムセールス枚数を見れば、彼らに対する認知度、関心度の高さが分かるだろうし、「国民的」と称されるのも当然のことだと納得してもらえるだろう(3月現在まで約40万枚のセールス)。ファンタジー溢れるセカオワの世界観を創造している音楽は、非常に実験的、かつチャレンジ精神に満ちたプロセスを経て完成されている。非日常の音を日常の中でレコーディングすることで構築された音の算出方法こそが、それらファンタジー要素と若者層の日常的恋愛などと結びつけている要因かもしれない。打ち上げ花火を実際に打ち上げ録音し、その際の音をキックに用いたり、Fukase自身がレコーディングスタジオの階段を疾走した後に息を止めて録音された心音なども取り入れられてるあたり、洋楽にも劣らないクリエイティブ精神が反映されてる。それらアナーキーにも感じる素材をクラシックホールにて一度再生させてから再び録音し直すことで、荘厳でありながら耳馴染みの良いサウンドコラージュが達成されている。そんな試行錯誤の末に幾重にも積み重ねられた膨大なトラック数の束が、子どもからお年寄り、家族やカップル、果てはマイルドヤンキーに至るまで浸透しているのだから本当に面白い現状が今現在見て取れる。「マーメイドラプソディー」など音楽におけるL⇔Rを体感するにも絶好の楽曲があるし、流行やブームの類にアンチな人にこそ、それらの技術的な面も含めて聴き込まれるべきアルバムになっている。是非良いリスニング環境で聴いてみてほしい。

SEKAI NO OWARI - Tree発売記念オフィシャルインタビュー①

SEKAI NO OWARI - Tree発売記念オフィシャルインタビュー②

SEKAI NO OWARI - Tree発売記念オフィシャルインタビュー③

Arca - Sheep (Hood By Air FW15)(Free:1/15)


アパレルブランドHOOD BY AIRのファッションショー用に書き下ろされた約16分、全11トラックで構成されたミックス。去年はプロデューサーとしてFKA twigsLP1』を手掛け、自身も初のアルバム『Xen』をリリース。その後にはBjörkの次作のプロデューサーに任命されたニュースが世間を賑わせたわけだが…正直プロデュースワークの仕事ばかりが話題性を呼んで、表現者Arcaとしてリスナーが聴くべき・受け取るべき刺激が正しく伝わっていないような気がする。このミックスも企画先行での商業的なプロセスがあったのかもしれないが、再生した瞬間にはブランドがどうとかファッションショーがどうとか関係のない、あくまでアレハンドロ・の生き血から滴り落ちたインダストリアルノイズのみが脳内を支配する。『&&&&&』で恐怖とエレクトロニカを融解させ、『Xen』では融解させた音を短いトラック内で起承転結を構成させ作品化した。そしてこのミックスではそんな融解させてパッケージした彼のパブリックイメージを自らで解体し、新たな新章のため再構築しているように感じた。特別に新たなエフェクトやリズムが上乗せされたのではなく、日本で言えば奥ゆかしさというか、彼の中に眠る品性がよりトラックに反映されているように思う。だからこそファッションとのクロスオーバーは納得できる部分もあり、そういう華やかな世界を切り刻んだエレクトロミュージックで演出するという皮肉にも受け取れる。2015年はArca名義でのリリースがあるのを期待したいが、少なくともこのミックスには気負いも焦りも感じないだけに、ゆっくりとこのミックスを聴きながら彼の動向を見守っていくことにしよう。

Björk - Vulnicura(One Little Indian:1/21)

Vulnicura

1/13にアルバムの詳細がアナウンスされたかと思いきや、翌1//14に突如ネット上でアルバムがリーク。当初は3月に発売される予定だったスケジュールを急遽変更し、2か月も早くリスナーに届けられた何とも災難な経緯を持つアルバムになったわけだ。最近ではMadonnaもリークにてアルバム制作におけるプランニングを汚されたと嘆いていたが、個人的にはMadonnaよりも深い悲しみと痛手を負ったのはBjörkの方だ。アルバムとしてはすでにミックスもトラックダウンも終え、あとは宣伝とそのタイミングに力を注ぐのみ…という段階だったのではないか?今までの彼女の作品に対するアプローチは、アルバム宣伝の活動を含めて1つのアートを表現していた。奇抜でセンセーショナルなアーティストビジュアル。アルバムをリードするであろう楽曲を様々なコラボレーターと共に映像、広告を通じてリスナーに大きなインパクトを与える。それは先程紹介したArcaとの共同作業もそのアートを完成させる1ピースであったのだが、リスナーがそれらのパズルピースを手に取る前に完成図を手にしてしまう、というアクシデントにより非常にナイーヴな印象が付加されてしまった。内容はというとArcaの不規則なトラックビジョンが底辺にありつつ、彼女の長年のパートナーであったMatthew Barneyとの別れを時系列に3曲ずつ3部構成で歌われている。そんな悲愴感がAcraとの作業で神秘的に表現されたことは、彼女のソングライター、シンガーとしての延命効果になったことだろう。シンフォニックなストリングスが全体を包み込むのが切なくも希望を生み、これらがライヴで実際パフォーマンスされることでさらに意味深いアルバムとして受け取り方も変わるはずだ。特別な驚きがなかった事は残念なのだが、日本人デザイナーの武田麻衣子がデザインしたヘッドピースが目を引くビジュアルそのままに、早く公の場で歌声が聴きたいものだ。

 

 

Jessica Pratt - On Your Own Love Again (Drag City:1.27)

On Your Own Love Again

サンフランシスコの女性シンガーソングライターの2nd。前作『Jessica Pratt』(2013)で由緒正しきアシッドフォークの伝統的な概念を何の装飾もなくそのまま作品化。新たな可能性、というよりは時間が止まったかのようなトリップ感がアシッドとしての作用だと思うが、2ndもその点については忠実に70’sフォークの質感と空気が再現されている。Linda Perhacsを彷彿とし、Sounds of Salvationにも参加していそうな彼女。勘違いすると悪いので説明すると現在彼女は27歳である。ロスのサイケバンドWhite FenceのメンバーであるTim Presleyがその才能と魅力に惚れ込み”Birth Records”というレーベルまで新設したのだから、それだけ異彩を醸し出していたのだろう。確かに2013年から2015年、というよりも10年代以降は女性シンガーソングライターという肩書自体に取っ付きやすさがある。ここ日本でもYUIを筆頭にmiwaなどのアイドル視点も持ち合わせた存在から、青葉市子阿部芙蓉美may.eといったミニマルな世界観でエキセントリックな活動形態を取るアーティストもいる。その多様性は海外でも同じで、ベッドルームシンガーや宅録系女子(GrimesComputer Magicなどは有名だろう)にまで解釈を拡げることができる。そんなシンガーソングライターの流行化が去年のVashti BunyanSharon Van Ettenなどの新作により何か振り子の如くリセットされた感覚がある。といっても、Jessicaは上記に挙げられたどのシンガーとも異なるコケティッシュな声とアコースティックギターアルペジオのみで音楽を奏でており、どの曲も狭い部屋でテープ録音されたのが深い味わいになり唯一無二な存在を演出している。<Jacquelyn in the Background>では録音中にテープが痛んでいたのか再生速度がガクッと落ちる場面も。ノイズ混じりで最低でも2トラックしか使用してないベッドルームサウンドが心落ちつくヒーリングミュージックとして、心身全てを浄化してくれるでしょう。

BŌMI - BORN IN THE U.S.A. (Bad News:1/21) 

BORN IN THE U.S.A


bomiからBOMIへ。アーティスト表記を変えるだけならホームページ等でアナウンスすればいいだけ、と思うのだが、そんな単なる心機一転を促す衣替えではなかった。ジャケットを見て分かる通り、これは過去の自分を埋葬し花を手向けるための葬送作である。インタルードとして間に入るダイアローグ” Stairway to Heaven”では「天使(エンジェル)くん」が登場しbomiと共にコミカルなやり取りを繰り広げる。津野米咲赤い公園)が手掛け、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)がベース参加した冒頭の<月曜のメランコリー>は津野節全開のトリッキーな構成がポイントだが、起承転結の見えないリズムの波をBOMIのヴォーカルは見事にライディングしている。<Mayday>ではシンセを主体としたニューウェイヴサウンドがネオン街の如く真夜中をカラフルに染めていく。先行配信もされ、葬送曲としてアルバムを締め括る<さよならミゼラブル>では哀愁をメランコリックな音色で覆いながら、bomiとして生きた自分の記憶に封をする意思、いや、遺志を感じた。全体としてバンドとしての基本形ではなく、シンセや様々なジャンルの音楽性が昇華されている点も聴いていてポジティブさを感じる。そんな愉快な幕間とフレキシブルでポジティブな本編のギャップがクセになってくるのだが、こういう思い切りの良さというか、記憶としては忘れずとも記録としては上書きを臆さない部分に女性の強さと恐ろしさを感じる。よく恋愛において”男は名前を付けて保存、女は上書き保存”と言われるが、正直そんな生半可な比喩表現よりもよっぽどこのアルバムは生々しく現実的だ。


BOMI『BORN IN THE U.S.A.』インタビューneol.jp | neol.jp

GARNiDELiA - Linkage Ring(DefSTAR:1/21)

Linkage Ring (初回生産限定盤A)(BD付)


去年3月にメジャーデビューした“ガルニデ”の初メジャーアルバム。2014年の日本における音楽シーンの中心には数多のアニメソングがあったが、ディーヴァでありアイコンとしても十二分なポテンシャルを持つメイリア、そのズバ抜けたアレンジメントとプログラミングを武器にボカロPとしても活躍するtokuからなるGARNiDELiAにおいては不用意に“アニメソングを歌うアニソン歌手”とカテゴライズしてはならない。既発シングル<ambiguous><grilletto><BLAZING>に見るタイアップとの相性も、アルバムに収められた新曲との兼ね合いも、ほとんどがバラバラな性質を持ちながらユニットとして活動する上で示す音楽的ベクトルに集約されるように1つの作品としてまとめられるべくして揃えられたアルバムだ。フロア志向が強く、現在形EDMを本流とした<PRIDE>からかなり攻めの姿勢が見て取れるが、<オオカミ少年>のような和の要素も加えた独自のロック観など13曲が個々のピースとして強靭で歪な形を成している点も非常に興味深い。ミドルテンポながらロマンチックな内容が新鮮なラブソング<フタリ座流星群>も普通のアーティストやアニソンシンガーならばスタンダードな曲と言えるが、ここでは新たな手札としてこちらの期待をさらに裏切ってくれるような痛快の1曲として機能している。アニソンという言葉にすぐさま背を向ける人もいるが、今はそんな意固地になる人ほど日常を怠惰な世界だと揶揄する傾向にある。そんな人にこそガルニデの今作はカンフル剤として効き目があると思うし、耳の肥えたクリエイティブ志向の音楽好きにも受け入れられる仕掛けが無数に内在している。2015年、日本の音楽シーンの土壌を象徴する先駆けとして、この上ない模範解答を示してくれたアルバムでしょうね。


GARNiDELiA「Linkage Ring」インタビュー (1/4) - 音楽ナタリー Power Push

 

あともう2つありますが後々付け足します。細かい誤字等も修正しますね…泣

2月度も後々…(3月上旬にはアップします)