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音楽について

TopicUp Vol.1

01. 土屋太鳳、Siaへの愛を身体で魅せる

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3月6日放送の『情熱大陸』を見て、改めて土屋太鳳という女優の将来が楽しみになった。朝ドラや映画主演にも驕らず、天真爛漫で無邪気な一面を見せつつも決して無計画ではない。そんな彼女の意志とSiaの音楽は共鳴すべくして共鳴しあったと言える。持ち前の身体能力で踊るコンテンポラリーダンスは、SiaAlive」の楽曲が持つ力強さと滑らかさを見事に体現している。映像の最後には茶目っ気たっぷりな独特の所作をしているが、これは「Big Girls Cry」におけるMaddie Ziegler(14)をオマージュしたものだろう。音楽が身体となり、身体が音楽となる。Maddieとは異なるが、それでも”土屋太鳳にしかできないSia”がここには記録されている。ますます好きになった。

gyao.yahoo.co.jp

 

02. 成功者を搾取した際に溢れた至高の数々

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Kendick Lamerの次回作。それは3/4、突如として降り注いできた。先月、最多5部門を獲得するも注目の最優秀アルバム賞は逃すというなんとも後味の悪い幕切れとなったグラミー賞は記憶に新しい。賞レースで勝つことが音楽における絶対的評価ではないにしても、アフリカン・アメリカンとして、ヒップホップアルバムとして『To Pimp a Butterfly』(以下:TPAB)は2016年にアルバム賞を取るべきだったと思う。まるで負け惜しみのようにも聞こえるがそれが真実だと自分は信じてるし、 きっと近い将来に彼がその栄光の座に腰掛ける姿を想像するとして今は良しとしよう。この『untitled unmastered』はその『To Pimp~』制作時にレコーディングされた未発表曲をまとめたもの(トラックタイトルはレコーディング時の日付であると思われる)。 その概要は徐々に紐解かれてはいるが、特に面白いトピックとしては「untitled 07」の後半部分をAlicia Keysの5歳になる息子エジプトが制作した、という点だ。アリシアの夫でラッパーのSwizz Beatzinstagramにてその模様を撮影している。

untitled 3」に顕著だがTPABに参加したミュージシャンたち(Terrace Martin, Thundercat, Bilal, Anna Wise [Sonnymoon])の比類なきジャムセッションレコーディングを今作でも存分に堪能できる。Ali Shaheed MuhammadAdrian Youngeがプロデュースし、CeeLo Greenを客演に迎えた「untitled 6」ではヒップホップ史の人物相関図を自身を中心に作り上げ更新している。わずか30分弱ながらTPABでは織り込めなった空白部、いや、そのメッセージ性やエンターテイメント性を考慮して省いた余白部分と呼べるかもしれない。TPABと合わせてKendrick Lamerの才能を再解釈することができるこのアルバム、必聴盤としてオススメ。

余談ではあるが、今作がCD及びLPフォーマット形態でのリリース準備がされているとアナウンスされている(その後正式のリリースがアナウンス。海外で3/31:CD, 5/27:LPを予定)。未だTPABでのレコーディングセッションには幾つかのアーカイブが眠っているようで、それらが陽の目を見るか、今後注目していくべきかと。まぁ、とにかくまた日本に呼んで!

 

03. 嵐「復活LOVE」にみる絶対的な方程式と次なる一手

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2/28に発売された嵐の最新シングル『復活LOVE』 の反響がすごい。もちろん嵐ファンの間でも今作の評価は上々だろうが、幅広く音楽を摂取する耳の肥えた音楽リスナーたちにもかなり熱烈に受け入れられている。”嵐の新曲、作曲は山下達郎。作詞を竹内まりや”というニュースが流れてから湧き上がってきた期待値は、実際楽曲が公開され、発売になった今、少々低い値を定めてしまった、と後悔してしまった。

ご存知の通り、山下達郎竹内まりやがジャニーズ(アイドル)に曲を書くことは珍しいことではない。近藤真彦、少年隊、KinKi KidsSMAP、など時代を跨いでアイコンとなった人たちをマストでフォローしている。なので「いまさら嵐?」などと疑問視する人はいないだろう。個人的な考察だが、嵐はアルバムに向けて必ず”助走→ホップ→ステップ→ジャンプ”の定番とも言えるルーティーンを繰り返しているように思う。ここでは”ジャンプ”がアルバム(それに付随するツアー)にと想定する。そのジャンプに向けての助走からホップに踏み切るまでのシングルが前作シングル『愛を叫べ』だとしたら、『復活LOVE』はステップ…いや、それは違う。おそらく今回はもうジャンプしてしまっている。アルバムごとにコンセプトやビジュアルの集大成を掲示することで男性アイドル/大人としての成長を表現するジャニーズにとってはかなり挑戦的ではあるが、今回の嵐に関してはその試みが強みとしてポジティブに受け入れられ、それが評価として世間に浸透している。

ディレクション面での秀逸さも忘れてはいけない。すでに広まっている通り、山下達郎自身が嵐5人のヴォーカルレコーディングに立ち会い、直にディレクションを行ったことは間違いなく今回の話題を生んだタネ明かしのひとつだろう。本作詞作曲のみを山下夫妻が担当し、その後の編曲はジャニーズ側が編曲する流れが当初のプラニングだったらしい。結果、デモテープを聞いた嵐と周囲のスタッフが満場一致で「編曲も達郎さんに! 」と依頼したことで、いわゆる「伝統的な達郎サウンド×哀愁の嵐」という絶対的な方程式が完成した、というわけだ。

こぼれ話を一つ。先日2/26に中野サンプラザ山下達郎のライブを観に行ったが、ちょうど『復活LOVE』発売2日後 という絶妙のタイミングであったため、運良く彼本人がステージ上で宣伝する様子を見ることができた。そこで『復活LOVE』のイントロ部分を山下自身が弾くというサプライズに立ち会えたわけだが、改めて嵐に楽曲提供をしたこと、結果それが最良のレスポンスをもたらしていることを山下自身も喜んでいるようだった。

つくづく”優れたJ-POP”というは作り手/表現者がプロフェッショナルな作業をより親密に、かつ互いを尊重しあい、それを誰もが分かりやすい形でアウトプットすることで成り立つのだな、と。それゆえ、愛情を感じられる音楽や表現には自然と人は吸い寄せられていく。間違いなくこの『復活LOVE』 にはその吸引力が備わっており、この次のネクストジャンプに向けて、嵐はもう既にそのエンターテイメントの翼でさらなる向上への上昇気流を捉えているあたりが、今作の一番の成功談とも言えるかもしれない。これでより一層次のシングルが楽しみだ。ハードルは高い?いやいや、そこは嵐、また多いに楽しませてくれるでしょう。

《追記》

この楽曲について他にも興味深い考察やブログがあるのでそちらの是非。自分も大変楽しく読み込みました。

青嵐 Blue Storm 大野智くん Fan Blog /『山下達郎のJXグループ サンデー・ソングブック』嵐「復活LOVE」

行動記録 / 嵐 - 復活LOVE 

リアルサウンド 嵐「復活LOVE」はなぜ画期的か?グループの新代表曲を徹底分析

 04. 進化と退化のジャズフュージョン

Esperanza Spaldingが4年振りとなるアルバム『Emily’s D+Evolution』をリリース。その最新アルバムが文句ナシに良い。しかし、彼女のファンであればあるほど今作は異質なものと感じるだろう。それもそのはず、確かにEsperanzaの作品には違いないのだが、以下のビジュアルからも分かる通り、これは彼女自身が生み出した初のスピリチュアルなコンセプトアルバムなのだ。

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2015年に彼女がスタートさせた”Emily’s D+Evolution”なる音楽を中心としたプロジェクトはとてもユニークだ。それは彼女の誕生日(10/18)の前夜、夢の中に出てきた"ある人物"の強烈なまでの存在が忘れられずにいたという。その人物に付随して付いてきた数々のメロディーやアイディアが今作のキッカケになったらしい。”ある人物”とは彼女自身であり、ミドルネームである”Emily”を主人公としたミュージカル調の場面構成こそ、今作のメインコンセプトになっている。

バークリー音楽院首席で卒業し、同学校で最年少講師を務めた類まれなるベースプレイは今作でも十二分に楽しめるが、やはり今までとは気色が違う。それは音源を聴いても分かることではあるが、何よりEmily’s D+Evolutionのライヴを見れば一目瞭然だ。以下はアルバムの全曲披露ライヴの模様。必見です。

「演劇」や「喜劇」、もしくは「朗読劇」すらミックスさせたステージはもはや音楽ライブ以上の機能性を果たしている。ステージ上を前後左右に歩き回り、感情豊かな表情でコーラス達、バックバンド達と共にライブ自体をEsperanzaが楽しんでいるのがよく見える。自作自演ともいえようが、シナリオを組み、ストーリー構成における音楽の役割を再認識する意味でも、彼女がジャズ史においてベースプレイヤー以外にも表現者として進化(=Evolution)していることがお分かりいただけるはず。

サウンドもフュージョン、ポストロック、モダン/アシッドジャズなどジャンルやカテゴリの枠に止まらないコラージュがなされており、聴き手を飽きさせない。時に不恰好なまでに原型を崩してしまうフリージャズのスタイルを極めたかのようなこのパフォーマンスは、確かに自身の今までの音楽スタイルを盛り込んだ上で退化(=Devolution)現象も踏まえた作品だと言い換えられる。このあたりがプロジェクトネームに由来した進化と退化の反復だと自分は解釈している。

今は亡きDavid Bowieの遺作にして2016年のベストアルバムになるであろう『』のプロデューサーでもあるTony Viscontiが今作を彼女と共に共同プロデュースを担当しているが、彼のベクトルストラクチャーとも呼べる作品の輝かせ方も忘れてはならない。適切かつ先進性も孕んだ彼のプロデュースワークが2016年に数多く評価されているのは、おそらく偶然ではないだろう。

5月末には早速来日公演も控えており、この作品にこのライブあり、と唸らせてくれそうなパフォーマンスを今から期待せずにはいられない。確実に彼女のキャリアにおいてエポックメイクな瞬間に立ち会えるはず。今から楽しみだ。

 

05. "あの名曲"の名カバーを発見

まずはもうダウンロードしてもらいましょうか。さぁ、どうぞ。

 ご存知、ロバート秋山が産み出した迷曲中の名曲(?)「TOKAKUKA」を東京や大阪を中心に活動しているトラックメイカー:John Gastro がオーガニックにカバー。説明不要、原曲はユーロビートを基にしたシンセサウンドだが...面影があるとすれば「シュールな題材」にフォーカスを当てているあたりか。これにはヤラレタ。

さらにこちらも一聴の価値あり。DAOKOShibuyaK」との「TOKAKUKA」のマッシュアップリズムセクションのタイミングや譜割りも考慮してしっかりシンクさせている...というか都か区か問うてる中で渋谷ですからね!最高ですよ...