読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

out-focus

音楽について

2014<MY BEST ALBUM 20> ~No.2~

【No.2】Kylie Minogue  - Kiss Me Once

Kiss Me Once

人は老いていくもので、どう足掻いたところで視力は下がるし肌も乾いていく。筋肉も衰え、血液や思考はその速度を急激に落としてしまう。人間の細胞分裂には有効期限がある以上、人体の老化は今のところ絶対的な術をもって止めることができない。
ただ、人は見た目を若く取り繕うことはできる。金と時間と多少の痛みを覚悟すれば、人そのものパーツに細工したり、もしくは服などを利用して若さを見繕える。いつかは死にゆく人生だ、労を費やして若さを求めて何が悪い?

しかし、見た目は若くとも精神はどうだろう?それは魂とも言えるが、精神的な部分での老化を食い止める術はどう探せばいいのだろう?もちろん「若くありたい」という強い願望も精神の強さであり、老化現象を減退させる要素にはなる。それでも人は誰しもが起用に肉体と精神のバランスを保てるわけではないし、一流のアスリートでも、それが歌やダンスを表現する人にしても、精神面のバランス感覚を若い頃のまま維持するのは非常に困難な作業だと思う。

ところが、だ。Kylie Minogueはその老化現象に反して精神面は年を追うごとに若々しくなっている。それもムダに取り繕うことも見繕うこともせず、若さを内側から放出しているのだ。Madonnaにしても精神的・肉体的な老化が顕著に見られるし(彼女の場合はその取り繕い方も魅力ではある)、いくら年齢は若いLady Gagaにしても、デビュー当時と比べれば”大人びた”という老化現象を避けては通れずにいる(だからこそTony Bennettとジャズアルバムを制作できたとも言える)。でもKylieは違う。いつまでもあの頃の彼女なのだ。あの頃とは彼女を好きになった頃、聴き手によってその時期は異なるが、一人一人が出会ってきた可憐で妖艶で等身大で、ジェンダーとしての象徴のKylie Minogueがいつまでもそこにいるのだ。。どんなに新時代のアイコンが出てこようが、Kylie Minogueはいつだって自分にとって変わることのないセックスシンボルとして君臨している理由は、まさに時代や時間を超越した人として認識しているからだろう。

f:id:junji0412:20141231154838j:plain

以上のようにもう偏見満載な基準で年間ベストの2位に彼女を選んだのだが、St,VincentやThe War On Drugsなどのメディア上位作などよりも、彼女を選ぶことが何より自分らしいと感じた。じゃあメディア上位作に比べて音楽的な側面では劣っていたかというと、そんなことはない。才能あるクリエイターに踊らされることなく、やはり彼女が歌い踊ればそれはKylieの音楽なのだ。

新作の曲目と参加アーティストを下記に並べてみたので、そこに付随するアーティスト名も含めていかに彼女が貪欲なまでに才能を求めているかが見て分かることと思う。そう、これも彼女の若さをの秘訣。言葉を悪く言えば若い生き血を栄養に若さを維持しているのだ。

01. "Into The Blue"
~Pro. by Kelly Sheehan (Mariah CareyCiara, Beyonce 他)
02. "Million Miles"
~Pro. by Cutfather(One Direction, The Wanted 他)
03. "I Was Gonna Cancel"
~Pro. by PharrellBeyonce, Jay-Z, Pitbull, Maroon 5 他)& Kelly Sheehan
04. "Sexy Love"
~Pro. by Pro. by Cutfather
05. "Sexercize"
~written by Sia Furler
06. "Feels So Good"
~Pro. MNEK(Little Mix, Rudimental 他)
07. "If Only"
~Written & Pro. by Ariel Rechtshaid(Usher, Major Razor, Vampire Weekend 他)
08. "Les Sexy"
~Pro. by GoodWill & MGI (Pitbull, Super Junior, 50cent 他)
09. "Kiss Me Once"
~written by Sia Furler
10. "Beautiful with Enrique Iglesias"
~Written & Pro. by Mark Taylor (Britney Spears, Diana Ross, Rod Stewart, Lady Gaga 他)
11. "Fine"
~written by Karen Poole (Janet Jackson, Sugababes 他)
[Bonus Track]
12. "Mr.President"
~Pro. by Thomas Olsen (example 他)
13. "Sleeping with the Enemy"
~Pro. by Greg Kurstin(Katy Perry, P!NK, Kelly Clarkson他)
[日本通常盤]
13. "Into the Blue" (Yasutaka Nakata (CAPSULE) Remix)

しかし、これら売れっ子プロデューサーなどを起用するというスタンスは諸刃の剣でもあることを忘れてはならない。いくら有能で優秀な才能がKylieの為に音を組み立てたとして、そこに「確実な作品としての良さ」はあれど「Kylie Minogueの作品としての基準」を満たしていなければただの不安材料でしかない。その部分を徹底してディレクションしている彼女自身の嗅覚も、これまた評価すべき点だ。

f:id:junji0412:20141231154413j:plain

今作には収録されなかったが前作『Aphrodite』(さらに今作との間には『Abbey Road Sessions』あった)の後にリリースされた<Timebomb><Skirt>などは配信限定ではあったが、『Kiss Me Once』の楽曲と比べるとやはり浮いた印象がある。

正しい美容法こそが美の秘訣と言えそうなほど、今作には正しい処方箋がなされ、これまた美しくキュートでセックスシンボルとしてのKylieが存在する。立ち止まれば老化してしまうと自己暗示しているかのように、止まることなく動き続ける。こちらもそんな走り続ける彼女を追いかけることで若さを保てる…と信じて追いかけ続けようじゃないか。

以下新作『Kiss Me Once』リリース後のKylieのトピックスを。

Fernando Garibayとの共作『Kylie+Garibay』を無料配信中。以下のSoundCloudにて。またこの内の3曲を使用した「Sleepwalker」なるショートフィルムも公開中。ツアーのスクリーンフィルムとして制作されたようで、著名なデザイナーによる衣装にも注目。

 

・来年2015年春にリリースされるGlorgio Moroderの30年振り新作にKylieも参加。他にもBritney Spears, Sia, Charli XCXなどが参加する模様。

・そんなKylieの最新ツアーの模様を約52分ほど堪能できます